Crush

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朝から見事なまでの五月晴れであったが、実家近辺は春先の雪のあおりで田植えの準備が軒並み遅れていた。田植えの準備に着手できる気候になったのはつい最近のことだ。
遅れを取り戻すべく、作業小屋では親父お袋が種蒔き、並行してこちらは草刈りに出る。
対象となる水田が増えていたようだが、一昨年導入した手押し車付きの草刈り機の活躍により、日暮れまでには一通り三倍速位で片付いた。



草刈り終了後顔と手足を軽く洗って着替え、軽トラを走らせて近くの温泉に行く。農作業は日暮れが近づくと作業終了となり、かつ程度の差こそあれ泥んこ落としもセットでついてくるため、実家の風呂場が輻輳するのだ。
車で10分少々の山裾にあるその温泉は、10年位前の国体に合わせて作られた宿泊施設の一角にある。もちろん、日帰り入浴も可能だ。

一風呂浴びて実家に戻ろうかとしたその時、入り口脇の車椅子用スロープが見るも無惨にひしゃげていたのが見えた。
駐車場との位置関係からして車はスロープには突っ込めない。不逞の輩による悪戯…にしては曲がり方が豪快すぎる。周囲に人家も若干あり、宿泊客も居るなかでの犯行は目立つことこの上なし。
…いや、冬将軍ならば誰にも気付かれずに実行出来る。屋根に積もった雪を上から一気に叩きつけるだけでよい。
そのためかスロープの柵は全く騒がれる事なく静かに捨て置かれている。
風呂場では当日亡くなったという元町議の話で少々賑やかだった。
一方スロープがいつ修理されるかの話はまだない。