これは記憶の彼方より蘇った教養科目のノートのなれの果てである。
[おしながき]
* 記憶にございませんのナゾ
* 記憶の動作に迫る
* 暗記のナゾ
* よりしっかりとした暗記のナゾ
* おまけ・スローモーションのナゾ
なお、私はその分野の専門家ではないため、以下の内容についての質問に的確な回答を返すことの出来る保証はどこにもないことを付け加えておかねばなるまい。以下はあくまで教養の範囲内、である。
(以下、ノートのなれの果て)
《よりしっかりとした暗記のナゾ》
「一夜一夜に人見頃」「変な姉ちゃん歩いてくるよ キセル担いでランランラン」、というは私が高校にいた頃に覚えたものだが、それぞれを解凍してみると次のようになる。
『一夜一夜に人見頃』の場合
a.平仮名に変換して「ひとよひとよにひとみごろ」
b.数字の読みに置き換えると「1(ひと)4(よ)1(ひと)4(よ)2(に)1(ひと)3(み)5(ご)6(ろ)」
c.その数字の並びは「141421356」
d.数字の並びの正体は「1.41421356」、即ちsqrt(2)、2の平方根の値、である
『変な姉ちゃん歩いてくるよ キセル担いでランランラン』の場合
a.ローマ字読みに変換して「Hennna Neechann Aruite Kuruyo Kiseru-katsuide RanRanRan」
b.英語読み風に若干補正して「Hennna Neechann Aruite Kuruyo Xiseru-katsuide RanRanRan」
c.この中には各大文字を頭とする化学元素記号か隠れており、それらはHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)であり、その筋では「0族」と呼ばれるよく似た特徴をもった元素の集まりである。
これは記憶できている期間からして「長期記憶」に入るのだが、数分間の寿命の短期記憶を最大保存期間の無限大の「長期記憶」へと変化させるにはどうしたらよいか?
そのカラクリに迫るべくまずはちょっとした実験ということで再び数列の登場。
581215192226
なる12桁の数字を、次の3つの方法で覚えてもらう。
1. 単に記憶させる
2. 数列の法則(この場合「5に3と4を交互に足す」)に注目させて記憶させる
3. どこかの国の年間予算として記憶させる
そして数分時間を置き数字の中身を思い出してもらう。その結果は以下の通り。
1. 単に記憶させる→ほとんど思い出せない
2. 数列の法則に注目させて記憶させる→かなり正確に思い出せた
3. どこかの国の年間予算として記憶させる→5800億といったように、概略値として思い出された
何らかの意味を持たせて記憶すると、保存効率がよくなるらしい。
このことが正しいかどうかを1973年にBrandsfoldとJohnsonが「相互結合構造の形成」という報告の中で述べている。
その中で行われた実験というのは
1.A/B2つに分けたグループに同じ内容の文を読み聞かせる。
その際に文の頭に次のような題名をつけておく。
* Aグループには「40階から平和行進を見る」
* Bグループには「惑星への宇宙旅行」
ちなみに文の内容はBグループで使った題名に近い、宇宙旅行ネタの文になっている。
読み聞かせた後、最後に文の中身を思い出してもらうのだが、その際にA/B各グループを更に2つに分けて、次のような方法で思い出してもらった。
* 「着陸は・・・」「幸運なことに大気は・・・」といったヒントを用意して思い出してもらう
* 手がかりなしで思い出せるだけ思い出してもらう
でもって、思い出せた内容を再生率に置き換えると次のような結果となった。
* A組:題名が「平和行進」→手掛かりなしの場合18%、手掛かり有りの場合29%
* B組:題名が「宇宙旅行」→手掛かりなしの場合53%、手掛かり有りの場合82%
注目すべきは、宇宙旅行とタイトルを付けたB組の再生率が「手がかりナシ」「手がかりあり」の両方で高くなっていることである。手がかりと内容の整合性や関連性が高いほど、両者がより堅く結合し確かな記憶となる、ということである。