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一見何の変哲も無い稲刈りの光景に見えるが、この水田はかなり病んでいる。
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この週末は実家の稲刈りであるが、主力のコシヒカリの刈り取りにはまだまだ早く、今回は早稲品種の「てんたかく」の刈り取りである。
しかし「てんたかく」は世に出てからまだ日が浅いこともあって売れ筋には程遠く、実家でも数ある田んぼの1枚分しか作っていない。天候に恵まれたこともあって午前中であっけなく片付いてしまった。


翌日は降雨との予報が出てきたこともあり、今年度農作業のお手伝いをしていた水田の刈り取りを、その家の大奥様と相談の上、予定を1日繰り上げで着手…したまではよかったのだが、そこから先がえらいこっちゃである。この水田はかなり病んでいた。
まず、漂ってくる臭いが他の水田と全く異なっている。実りが近いの水田からは、普通は稲藁や米の香りがほんのり漂ってくるのだが、この水田からは水草の香りがする。刈り取り後、軽トラックの荷台に取り付けた仮設タンクで乾燥機まで運んだのだが、そのタンクからも水草の臭いしかしない。
しかも、田んぼ一面に稲穂にしてはやたらと茶色掛かったような色がしているかと思えば、稲穂よりも頭一つ飛び出た「稗」の大群である。所々濃い緑色が掛かっているのは水草の大群。で、当の稲穂はというと、水草と稗の間でにまぎれて細々と立っている。最早米ではなく稗や水草を作っているといっても過言ではない。水田の面積は午前中に刈り取った自前水田よりも2回り程広いはずなのだが、収量は半分あるかないか。
水抜きにも失敗したのか、所々コンバインが泥にはまって動けなくなる箇所も。
実家の親父殿にしてはかなりの酷い出来…それもそのはず、親父殿が手伝いをしたとはいっても、実際の作業は田んぼの持ち主の意向により、田植えなど、比較的大規模な機材を使う作業に限定され、あとは持ち主殿が面倒を見ることになっていたのだが、いざ蓋を開けてみると田植え以降は丁重な放置状態となっていた。結局のところ親父殿が周囲の草刈と肥料散布も形式的に作業を受託することに。これでは一体誰が耕作主なのか分からない。
加えて稲刈りは翌日に予定しているという話だが、それなりに手間のかかるはずのコンバイン等機材の準備が朝から全くなされた気配がない。それで稲刈りも急遽実施の図である。
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このような水田もどきで収穫された米と稗の混ぜモノでも農協のカントリーエレベーターでは受け入れ拒否となるどころか見事に受け入れられており、他の多くの農家で丹精こめて育てられた米と一緒に大型サイロで混ぜられて乾燥され、玄米となって出荷されている。どうりで親父殿が自前設備での乾燥にこだわるわけだ。
こういう水田は自らも営農組合で売れる米作りを目指しているという某町の町長( http://www.21styles.jp/diary/takayuki/ )さんの近所でもよく見かける。大言壮語も結構なのだが、この町長さんには足元は見えているのだろうか?