北陸新幹線を捻り出せ(後編)

北陸新幹線を捻り出せ、ということで取らぬ狸の皮算用中。
続きである。
【2.東京駅のホーム増設…の対策】
新幹線を走らせる、とはいっても中途半端な場所に始発、終着をもっていくわけにもいくまい。しかし今のままではただでさえ混み合う東京駅を発着とするのは至難の技である。ホームを増設しようにも、煉瓦造りの丸の内側駅舎や周辺のビル群に挟まれて単純に面積を広げられなくなっている。長野新幹線の高崎~長野間の開業に先立ち、東京駅で中央快速線から順々にホームを移動させて新幹線のホームの建設用地を捻出したことや、秋田山形新幹線が東北新幹線と途中まで連結された形で走っていることからも相応の困難が伺える。


しかし、幸いなことにホームの長さ16両分に対して長野新幹線は8両、上越新幹線も大半は12か10両となっており、若干余裕がある。上越新幹線は北陸新幹線開業後に越後湯沢・長岡経由で北陸方面に行く乗客が減る分余裕ができる。で、北陸方面は現行の「はくたか」が在来線サイズで9両なので新幹線サイズでは8両あれば十分ではないだろうか。
途中の高崎駅には既に列車の一部を切り離しできるようになっているので、北陸新幹線開業後も、上越長野新幹線に北陸方面の分を増結してしまえばダイヤはあまり変えずに済みそうだ。長野行き、越後湯沢止まり、新潟行きのどれに連結するかは乗客の動向と「わかりやすさ」次第でどうにでもなる。
一方、ホーム1つの長さは確保できてもホームの絶対数まではなかなか増やせない。かといって発着を大宮止まりにしたり、線路を東京駅ではなく新宿駅に持って行ったりでは新幹線を選ぶありがたみは薄く、上野は新幹線ホームが地下なのでホームの追加は難しい。東京駅の地下も、京葉線や総武快速線や、地下鉄各線のホームが入り組んでおり地下にも残されたスペースはあまりない。
ここは一つ、既に計画が練られた話ではあるが東京~秋葉原間の東海道線&東北線を直通可能とするような工事を行ってから、4つある東京駅の東海道線ホームのうち2つを新幹線用にしてしまうのはどうだろう。大まかには東海道&東北高崎線の直通運転&上野駅と品川駅で余っている臨時ホーム・旧ホームの利用により、東京駅発着の東海道線を上野発着にしたり、東北高崎線を品川発着にしてみたりなどで東海道線ホームは4本中2本で済みそうな気がするのだが。
同様に新大阪と名古屋にもホーム増設が必要となりそうだが、まだ土地には若干の余裕がありそげ。
【3.京都大阪方面との接続…の対策】
【4.名古屋方面との接続…の対策】
北陸からは関東、関西、中京へと3系統の特急が走っている。首都圏での用地やダイヤ等のやりくりが問題になるのであればもちろん関西中京でも同様の問題が生じる。現時点では敦賀から先のルートが確定していないが、結論から先にいくと敦賀から米原まで伸ばして現行の東海道新幹線とつなげてしまうのがベストではないかとみている。
ここで問題となるのが、接続先となる東海道新幹線の混み具合。列車本数は東北上越長野の比ではなく、北陸新幹線の入る隙間は1時間に1本程度、東京~名古屋間の「こだま」が走るタイミング位しかなさそうだ。そのままでは北陸新幹線の大半の列車は米原止まり、とするほかないがこの方法は利便性の面で問題あり。
ということもあって、北陸新幹線の敦賀より西の区間では若狭湾沿いに小浜市付近を経由させる案と、線路の手直しまた特殊な列車の導入によって湖西線に乗り入れる案も上がっているが、若狭湾沿いのルートは建設費が高くつくことが問題となっており、湖西線乗り入れとする場合も乗り入れ先の湖西線やその先の京都線には既にこだまより速い(?)新快速等が多数走っている+増発予定あり、となる等制約も多数。加えて湖西線沿線の強風もネックとなるであろう。実際に強風の影響での遅れ・迂回もよく耳にする。
そこで、東海道新幹線のうち、冬季に関ヶ原付近の雪の影響をよく受けている名古屋~新大阪間は新たに造った「雪の影響を直接受けないバイパス(屋根付き・トンネル等)」を通し、空いた線路を使って北陸~米原~関西方面と北陸~米原~中京方面の列車を走らせる、というのはどうだろう。
豪雪地帯とされる北陸を通り抜けることのできる列車であれば、関ヶ原で雪が降っても大したことにはなるまい。加えて東海道新幹線の抜本的な雪対策にもなるのではなかろうか。ついでに新しく作ったバイパスには騒音対策も念入りに施して、東海道新幹線を今よりも速い350km/h位で走らせてしまおう、というものである。
さて、取らぬ狸の皮算用はここまでにして、2007年頭の時点での状況に目を移すと、北陸方面の新幹線は「高崎~長野」間が開通、「長野~金沢」間が工事中となっており、高架橋などはかなりのエリアでお目にかかることができるようになった。「黒部~糸魚川」「石動~金沢」間はあとはにレールと電線を引き込むだけとなっているようで、上越市郊外でも高架橋ができており、信越国境の長いトンネルも途中事故はあったものの2007年度中には貫通と伝えられている。長野市北部の浅川付近は土地収用が難航していたが、県知事が交代するや否や突如として脱・脱ダム宣言とともに土地収用が進みそうな気配である。東京へ向かう線は着々と出来上がってきているが、福井から先は姿を見せるのはいつのことやら…?