マルチバンド

CDMA、もといスペクトル拡散方式の通信では、信号の拡散率が高いほど雑音・干渉の排除能力が増す。しかし、帯域が広いと無線機に高い信号処理能力や歪みの少ない精密な増幅能力が要求される他、「周波数選択性フェージング」の影響を受けやすくなるなど、取り扱いが難しくなってくる。
[image]
そこで、W-CDMAの規格を作り込む段階では、送ろうとするデータに応じて4段階のチップレート(1.024~16.384Mchip/s)&周波数帯(5~20MHz)を切り替えて使う「マルチバンド」の導入が検討されていた。


拡散率を一定にしておいて、音声通信や、メールなどの低速データ通信では、チップレートを低くして拡散後の周波数帯域を(比較的)最低限に絞り、動画など高速のデータ伝送が必要になる際には元データの伝送レートに応じてチップレートを高くし、広い帯域に信号を拡散させる。なお、拡散率は常に一定だがcdmaOneよりは高い。
こうすることで占有する帯域を最小限にとどめて周波数選択性フェージングの影響を受けるのを防ぎつつ同時接続数の低下を防ぐことを狙っている。
[image]
ただし、この手法はTV電話など常時帯域を確保するサービスには適しているが、Web, IPベースのサービスとなると回線利用効率はあまりよくない。W-CDMAの詳細が作り込まれていく段階でIPベースのサービスが主流となっていった結果、「使う周波数帯はそのままで、同一周波数帯の伝送速度・利用効率を上げる」方針にシフトした結果「マルチバンド」は没となり、周波数帯は5MHz固定となっている。
その代わり、W-CDMAではcdmaOneのEVRCのような、伝送量によって信号処理方法とビットレートを変化させる手法を取り入れてIPベースのサービスにも適応できるようにした「HSDPA/HSUPA」で、伝送速度の引き上げを図っている。(HSDPAについては頁を改めることとする)

Last Updated on 2012/05/27