マルチコード

通常、伝送速度を上げるにはチャンネルあたりの速度を上げるか、複数のチャンネルを束ねるかとなる。伝送速度を上げるには、大概は伝送路を物理的にいじることになり、大がかりな話になる。チャンネルを束ねるとなると、FDMAやTDMAの場合は変調~送信~受信~復調までを行う送受信機がチャンネル数分だけ必要になる。
しかし、CDMAでは比較的簡単に複数チャンネルを束ねることができる。
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スペクトル拡散に使う拡散符号は互いの相関値が常に一定以下になるように設計されている。ずばり、複数の拡散符号を同時に逆拡散できるようにするだけでよい。CDMA方式の場合こういったことはレイク受信器と似たような仕組みを使ってほぼソフトウェアだけで可能となる。拡散と逆拡散はチャンネル数の分だけ必要だが、送受信と変調、復調は1系統
あれば済む。
ついでに1度に使えるチャンネルの数を簡単に変えられるようになると、一度に使用する回線数を常にその時々に応じた必要最小限のものに抑えられるようになる。
「PacketOne」では、端末で同時に5種類の拡散符号(=同時に受信できる論理チャンネル数)で逆拡散できるようになっている。符号1つにつき、伝送速度が14.4kbpsなので、これを5つ束ねると14.4×5 = 72 となるが、そこから制御用の信号の分を差し引くとだいたい64Kbps強となる。
なお、「下り(ダウンロード方向)のみ64K」となっているのは、単に電池の節約のためである。上りでも64K・・・とすると、送信電力が通常の5倍かかってしまい、あっというまに電池切れとなりかねないからだ。(PDCで最大28.8Kbpsの速度を出せるDoPaの端末がずんぐりむっくりなのも、通常1つしか使わないPDCのタイムスロットを制御用の物も含めて4つ同時に使ってしまうからなのだ)