あの日の風景(真夏の夜の夢編)

もう6年位前になる。
真夏のイベントの1つとしてビアホールらしきものをやっていた。
銘々がおつまみを作ったり、チケットを捌いたりビールをついだり、つぐのに失敗したビールを飲みながら会場を切り盛りしていた。
会場を移しつつ数日に渡って行われたのだが、特に楽日は受付担当が浴衣に身を纏い、会場に華を添えていた。声を掛ける男性諸子がいたのはお約束のネタだろうか。
そうしてイベントは幕を閉じたのだが、ここからが本番、という声もあった。


というのは当時の参加メンバーは好奇心旺盛な方が多数おり、共通の疑問を常日頃から抱いていたからである。
着物の帯を引っ張ると本当にくるくる廻るのか
時代劇にはよくある光景らしい。斯様なことを考えているのは助平親爺の専売特許という時代はもう古い。いってみようやってみようを考える輩は性別を問わず確実に存在する。
そして男女混成の実験君達は準備にかかるまでもなく人間風車ならぬ人間コマを実証してのけたのであった。見事なまでの廻りっぷりだった。
ま、そこはそれ。きものの類はかなり頑丈にできており、帯を引いたくらいでは簡単に脱げない造りになっている。というか2重3重に念には念を入れて締めるものなので着付ける方も大変ならば着る方も大変という。あしからず。
以上は公式な打ち上げの前におこなわれたものだったが、片づけと打ち上げも済んで会場を引き払い、近くの広場での第n次会へと舞台は移っていた。その途中木に服を引っかけて動けなくなるというネタを作ってしまった記憶がある。その現場を収めた写真もあったろうか。
・・・・・
あの頃は皆若かった。
酒を喰らいつつ他愛もない話をよくしていたが、時には大まじめな話もしていた。そんなとき、背中に衝撃が走った。
後ろからきゅっとヤラレタ。
ドキン、ときた。あのときの背中の感触を思い出すと、ちょっと恥ずかしい。やっぱり私は青かった。
んなこともあったが結局その日は夜が明けるまで飲み続け、朝陽を潜りつつできたての跨線橋を跨ぎつつ銘々の自宅へ帰っていった。
しかしそこから暫く後の夜、あんなことやこんなことやあまつさえそんなことが起ころうとは当事者以外誰一人知る由もない。
皆一様に相当な衝撃を受けた出来事だったとだけ書いておこう。突然というのはいつの世も恐ろしげな雰囲気を醸し出す。
あれは真夏の夜の夢だったのだろうか。
もう6年位前になる。