ルンです(前編)

小生もいよいよ相応の年とそれを感じる年頃になってきたらしく、各地の挙式会場から適当に声が掛かるようになってしまった。2月は名古屋へ赴き、此度は種子島である。
種子島の当人にとっては甚だ無礼なネタかもしれぬが、小生はこの一件を全く検知できていなかった。元より小生が斯様な方面にてんで疎いという説があり、それは十数年前に実証済みという報告もある。今後のためにも十分に場数を踏んでおく必要があるだろう。
それはさておき、先月名古屋へ空路日帰り強行軍を敢行したのだが、斯様な挙式の場にはカメラ持参が必須なのかと云う位のフラッシュが焚かれていた。しかも業者の方を除きほぼデジカメである。世の中も変わったと感じるのは小生だけだろうか。


元より財布の紐が極度に固い上に最近費用対効果まで気にするようになった小生の手元にそのようなものが在るはずもなく、ましてや「出会いショット(仮称)」「盗撮写メール(仮称)」に代表されるカメラ付きケータイもない。しかし欲しいなァ。
実はデジカメは某社のマイレージで当てたものがあったのだが、Windows95のパソコンでは使い物にならない代物と判り、首里城で何枚か写して以降某所に居候中である。(後日写真は某所よりメールにて送られてきた)
小生は当面『写ルンです』の類にて十分事足りるようだが結果から先に行くとそれが無くても全く支障無かった。カメラよりもお祝いの気持ちが大切というのは歯の浮くような咄だろうか。
尤も、小生には「文字による念写」なる技があった。これを『念写ルンです』と書いて「うつるんです」と詠ませると表意文字が明後日の方向に憑依しそうな気がするのでこのネタは使い難いか。「伝染るんです」では如何に?
先の名古屋の一件も既に文字にて念写済みである。通常であれば長くとも数日の内に「決戦!白亜の要塞(名古屋編:仮称)」といった見出しと共に公開しているであろうが、今回は意図的に溜めている。
どういう意図かといえば程なく行われる次の挙式、種子島の一件の後、両者を比較検討し文字通りのエターナルな成分の抽出を目論んでいる。
・・・いつから文系アカデミックなコーナーになったのだ? この大都会は?
挙式の類はよく「ハレの日」と称される。
それは農耕生活での「ケ(日常)」に対する「ハレ(日常)」を源とするというネタだとか。
挙式をはじめへ「ハレの日」に顔を出すことは滅多にない。他方小生の日常はというと相変わらず外で人に会うこともなく、何処かへ車で出かけることもなく、それ以前に自家用車が存在しない。
小生の唯一の足は自転車だが、これがまたたいそうな代物であり、計算上は14年近くも乗っていることになる。ここまで来ると『走ルンです』と呼んでも支障なし。とうの昔に自転車も使い捨てのご時世である。
高校時代は実家から学校まで電車よりも速く駆け回り、大学に移ってからは千曲川のサイクリングロードを全線走破したり、善光寺前の急坂を何度と無く駆け上がっては転げ落ちたりを繰り返し、ここ琉球では首里城への坂で駆け上がりと転げ落ちを繰り返している。
それだけでは飽き足らないらしく、快走45分で那覇から糸満へ向かったかと思えば途中パンクで3時間かけて押しながら歩くといったこともやっている。自転車にとっては酷使無双、なに、それは黒師無双の間違いではないかと? 黒死病か?
更に懲りることなく今度は那覇からの直線距離だけで糸満とは倍以上離れた具志頭村へ征こうというのだから構想の段階ながらご近所では既にネタになってしまっている。いつぞやの糸満でパンクした時のリベンジという趣旨もあるが、当地にある地麦酒工場への買い出しなる目標もある。その麦酒は国際通りで飲めるのだが、斯様なところは一人では入りにくい。ましてや小生のような引き籠もり擬きにはねぇ。
この遠征、何やらサイト構築のために企画しているような感覚がしなくともないが、小生にとっては「ネタが先」である。でなきゃ続かぬ。
(後編へ)