拡散・逆拡散のしかけ

拡散・逆拡散に使う拡散符号は、通常デジタル変調波と同じく2つの値をとるが、その変化の周期はデジタル変調波のものよりも一定以上速く変化するようにしてある。
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最初の変調波の変化のスピードは「ビットレート」、PN符号のスピードは「チップレート」と呼んでいる。また、ビットレートとチップレートとの比を「拡散率」と呼んでいる。ちなみに、cdmaOneでは128倍(拡散符号がデジタル音声信号よりも128倍速く変化する)になっている。


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このようにして信号を掛け合わせることで、信号の「電力密度スペクトル(周波数ごとの電力の分布の様子)」が大きく変化する。拡散前の信号は、電力密度スペクトルの分布は割合狭い周波数帯の中におさまるが、拡散跡の信号は電力密度スペクトルが薄く広く分布している。拡散前後での信号の周波数帯域の比は、拡散率に(ほぼ)一致する。
【拡散率=チップレートとビットレートの比率=拡散前後の帯域幅の比率】
このような「回り道」をするのは、拡散・逆拡散を行う一連の過程で、送信から受信までの間に割り込んできた邪魔な信号を排除できるからだ。
実は、拡散と逆拡散は「全く同じ」動作である。送信から受信までの間に邪魔な信号が割り込んできても、逆拡散の際に邪魔な信号は「拡散」される。そこで、適切な周波数帯の信号だけを取り出すようにしておけば、必要な信号だけが首尾よく取り出せる。
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