卒業式も門出なら、お葬式もまた門出。卒業式の真っ最中に訃報が入電し(「お日柄もよく」を参照のこと)、翌朝すっ飛んで実家へ向かう。
が・・・お通夜は明日の夜、葬儀はあさってに行われるという。仏さんが亡くなったのは卒業式の前日の夜(おやじが気を利かせて卒業式終了まで連絡しなかったそうだ)。通常、お通夜は亡くなった翌日の夜、お葬式はその次の日に行われるはずなのだが・・・・
そのままいくと、暦の上では「友引」という日になる。「大安」「仏滅」の仲間らしいのだが、この「友引」の日に葬式をすると、身内や知り合いが後を追うかのように不幸に合うため、縁起が悪いとされている。そのため、葬式の日が「友引」にかかりそうなときは1日後に行うようになっている。
しかし、お葬式までにやらないといけないことはたくさんあって、まずは葬式会場となる家のお片づけ。親類縁者はもちろん、近所の人たち、職場の関係者まで参列するのがこのあたりでは普通なので、家財道具をとりあえず車庫あたりへ避難させて、会場を確保しなければならない。ホールを借りると、費用はバカにならんという話だった。
私が来た頃には、お片づけはあらかた済んでいたが、まだまだ仕事はある。お線香を上げに来た人たちの接待だとか、送り迎えだとか。このほかに、香典返しの品物の準備もある。デパートに、香典返し用の品物が常備されていて、これを大箱ごともらってきたらお礼状を挟み込む。お代はとりあえず使った分だけ取られるらしい。余ったら返却。
葬儀社の人たちが来た。翌日の打ち合わせと納棺である。お寺の方も来た。
軽く打ち合わせを済ませたところで、納棺開始。白衣のお兄さんがジュラルミンのケースから小道具を取り出し、仏さんを俗に言う死に装束に着替えさせる。見ていて驚いたのだが、白衣のお兄さんは布団の中に手を入れて、仏さんを見ずに黙々と作業をこなす。もちろん布団の中は他の人にも見えない。
その後、ひげを剃り、鼻、耳、口に綿を詰め、両手を合掌させて衣装替えは完了。そして棺に仏さんを入れて、読経。その間にお香とお盆が廻ってきた。焼香して、お金を入れていくのだ(お賽銭のよぉなもんです)。通常は、喪主は1000円、その他の人は100円を入れる。参列した人たちの間をにお盆がひととおり廻り、そのタイミングを見計らったかのように読経は終了。こうして納棺はつつがなく終わった。
そして参列者のみなさんが引き上げた後、打ち合わせ。費用の方は、本番が済んでからということに通常はなっているので、打ち合わせは主に時間の確認と、参列者の名簿の確認。ことに名簿の方は、お通夜とお葬式の焼香の際に読み上げるものなので、読み方はもちろんのこと、読み上げる順序を念入りに確認する。
このムラ社会では、順番の後先でギャーギャー騒ぎ立てる暇な人たちがたくさんいるので、打ち合わせは石橋をたたきすぎて壊しかねないくらい慎重に行われる。
夜遅くまで、打ち合わせは続いた。栄養剤はもちろんのこと、夜食も欠かせない。お葬式なんて、滅多にないことなので、今回が初めて・・・という人たちも少なくない。慣れない仕事に関係者の間には、疲労感も漂う。
一番きついのが「お葬式が終わるまでお線香とロウソクの火を絶やしてはいけない」というしきたりである。お線香の煙とロウソクの明かりで、仏さんはあの世へ無事に行くことができる・・・というそうだが、徹夜で面倒を見るというのは大変である。ちょっと気を抜いたために、火事になったということも度々あるとか。(つづく)
Rec/Mix:1999-4-19