Make out

こういう場所でも平気でキスをするぐらいだから、恐らくどこでもそうなのだろう。
二人ともごく普通の旅行者のような風体のカップルだったが、この時間帯にあっては風体はあまり関係なさそうだ。

某所からの帰り道、中央線名物の人身事故に久々に当たってしまい東京駅で足止めを喰う。
酔い覚ましも兼ねて、駅構内でコーヒーを飲みつつ一息ついていると、向かいの席で男女がいちゃつき始めた。店の隅とはいえ、扉で仕切られた喫煙席以外は全て仕切りのないカウンター席なので、店員はもちろん禁煙席にいる客全員に丸見えなのだが。


男の方が缶チューハイ、女がビールを片手に飲んでいたかと思いきや、キスを始めた。BGMのかかった店内でも聞こえる位の激しさだった。
週末の駅構内では割とよくある光景とはいえ、目のやり場に困る…という感触で隣の男女3人組と思わず顔を見合わせてしまった。そういう事をするなとは言わないが、もう少し控えめにやってもらえないものだろうか。
興味の無い振りをしてコーヒーが適度にさめるのを待つのも、なかなか楽ではない。
彼らは終始抱き合ったまま、時間をかけて缶を開けている。飲む量に比例してその辺りだけ時間の濃さが増しているようだ。女の方は多少周囲の視線を気にしていたようだが、結局の所キスの濃さは増す一方。
客観的に見ればかなり恥ずかしい行為に違いないはずだが、私にも多少は心当たりがある事なのであからさまな批判は難しい。
店内に蛍の光が掛かりだした頃合いで運転再開の気配がしてきたため、あぁまたやる気だなと苦笑したくなるのを抑えて、紙カップ片手に席を立つ。
案の定、男が口移しで女にチューハイを飲ませるのが、視界の隅に映った。
同じ場面を見かけたのは、彼らで何組めだろうか。
それにしても、口移しで飲まされるぬるい酒は、種類を問わずおいしいものではなかろうと思う。

Last Updated on 2010/03/05