A flower offering

[image]
ふと通りかかった坂道の途中にある交差点の一角に、花束などが積まれていた。
よくよく見ると、花束以外にもCDや帽子、色紙やメッセージカードのようなものまであり、交通死亡事故にしては花束の数がやけに多く、記帳用のノートまで用意されているなどむしろ賑やかだ。酒をかけないでください、という張り紙がしてあるところをみると、どこかの時点では酒も手向けられていたようだ。その時点ではその影形はなかったが。


置かれていたカードの文面から、一連の花束の類は「清志郎」さん宛てであることはわかったが、比較的勢いよく通り抜ける場所だったこともあり、当人とその場所との繋がりがわかるまでには少々時間を要した。

花束の山の隙間から頭をのぞかせていた石柱に掘られていた文字を見て、漸く事態が飲み込めた。
多摩蘭坂…曲は聴いたことは無いが。