永遠に乾杯(横浜編)

周辺のおめでた話が粗方ひと段落した気配を見せ、あとはほぼ親族のみとなってきた。
そろそろ、いや既におめでた話の類は挙式から出産へとシフトして久しい…とするには少々早かった。
…何箇所か、忘れている。そんなころあいに一通の招待状が届き、横浜へ赴く。
会場に着いて控え室で着替えて戻ると、まだ準備中だったらしく、係員が動き回っていた。本番まであとわずかのはずだが、それらしき形はまだ見えない。一旦外へ出て一息つき、戻ってみると、出席者と思しき方々は半分ほど会場に着いていた。いつの間に準備が出来上がったのかと思わせる位の準備の素早さである。


会場は2段構えになっており、控え室の扉を挟んだ奥に会場がある。
ウエルカムドリンクを受け取り、他愛もない会話をしつつ開場を待つ。
程なく、準備が整ったようだ。
が…
準備ができました、お入りください、といったことを言うだけのところで少なくとも2度かんだ係員。緊張はほぐれるを通り越してコントさながらに崩れた。のっけからやってくれるぜ。
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どこかで見たような暖色系の間取りの、低めの天井の会場からは横浜港の大観覧車から汽車道あたりまでが窓に収まり、随分と絵になる会場ではある。
宴は主役の入場に続いてケーキ入刀から始まった。そのあとファーストバイトと続くが、お約束とも言うべきか、ケーキは大きく、クリームはたっぷりとリクエストとも茶々ともつかない声がちらほら。
その声を受けて、確保されたケーキは大き目のケーキに多めのクリームとなったが、新郎はここ一番の取っておきともいえる位の大口を開けてケーキを難なく収めてしまった。
拳も入ってしまうという、近藤勇の大口に匹敵しないとも限らない。その結果にお口あんぐりとなった方がどれだけいたのかは定かでない。
司会からの新郎新婦の紹介に続いて、祝辞。
ひたすら真面目、のキーワードが続くかと思いきやビアテイスターの資格をもっていたり等のある意味意外な一面も。かなりの酒飲みであるのは確かだが、こだわりも結構なものがあるようだ。当人主催の飲み会の会場が何度か地ビールレストランだったのは記憶に新しいが、かなりのビール好きだったとは。
ツーリング、ダイビング等等、かなりの多趣味でもあるが、入社早々に嫁さんを射止めるあたりは抜け目なし。
祝辞は会社の予算管理も抜け目がないので家庭の予算管理も大丈夫という太鼓判で締めくくられた形となったが、当人の料理腕が結構なものであることを知っているだけに、本当にそうかもしれないという気がしてくる。

テーブルには、席札とメニュー札や食器、飾り等が所狭しと並んでいる。出てきた料理を食べつつ、入り口でもらった席次表ともども、紙のものをどのようにしているかといった話をしていたところ、卓の中の1人が、席札の裏側に何かがあることに気づいた。席札の裏側には、出席した方々へ宛てた直筆メッセージが貼り付けられていた。
後で気づいたが、同じような直筆メッセージが会場のみならず周辺各所にも設置されており、気配りの人柄そのものともいえる。
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暫く間をおいて、友人、恩師からの祝辞…なのだが、新郎の核の大部分が「真面目」で占められていたのか、当日朝からの仕込みでは良いネタが浮かばなかったらしい。思い浮かばなかったと言い切ってしまうのは、豪快ともいうし、そりゃないぜでもある。仕込みは適度な範囲で念入りに・・・といえるかも。
その後、新婦お色直しのため席を離れる。新郎はしばし一人高砂席で待つ・・・かと思いきや時間差攻撃で会場を後にする。
途中、祝電の披露があったがその中の1つに「人生はツーリングだ。つかの間の晴れ間に幸福を。」美文すぎる…
キャンドルサービスは滞りなく行われたが、その直前にドッキリを仕込む仕込まないという話があった。
以前に出たことのある別の披露宴のキャンドルサービスの際に個別のキャンドへの点火で難儀した、という話にヒントを得たのか、事前にキャンドルをひっくり返して(今回グラスの中の水に浮かべてあった)おいて新郎新婦がどういう反応をするかを見る、というアイディアが出された。それは急遽かつ直ちに敢行された…かにみえたが、直前になってキャンセルされ、キャンドルは元の位置に戻された。火遊びは下手をすると愛の炎よりも派手になることがある。
が、その際にひっくり返したキャンドルは点火用の糸に水が入ってしまっていたのか、新郎新婦が別のテーブルに向けて移動してから程なく、火は消えた。その後何人かが再点火を試みたが、キャンドルをグラスの中でひっくり返してしまったり、ライターの炎が届かなかったり等などで、終ぞ再点火には至らずジマイとなってしまった。比較的目立たない場所のキャンドルではあったが…
暫くして高砂席から新郎新婦が突如会場の外へ移動。急遽お色直しもう1回?ではなくて、披露宴の最初に入刀されたケーキを自ら出す、というものだった。行列ができていたので暫くして列が短くなってから移動。ようやく声をかけることができた。それ以前から卓の全員が気づいていたが、終始硬い顔の新郎。曰く、式場には魔物が棲んでいる、と。本当にそうなのかは当人のみが知っている。口にありったけのフルーツを突っ込めばある程度はほぐれるかもしれない…どこかでそういうのを見たことがあるが。
…それにしてもこの披露宴、顔を出すタイミングがとりづらい。誰も高砂席へ顔を出さない時間が続いたかと思えば次の瞬間に一斉に押し寄せ、さらに次の瞬間には進行役の係員に時間を切られてしまった。顔を出せたのはごく一部のみ…だったかも。
ほぼ定刻通りに進んだ式は、両親へのバースデイ・ベアの贈呈に続いて手紙、締めのあいさつと続くが、ここでも新郎の顔は終始硬い。いや、この瞬間が一番硬い。声も固かった。文字通りの緊張の一瞬である。
披露宴のラストは生まれてから今日に至るまでの写真をバックに、出席した方々の名前がエンドロールで流れる。披露宴を通してB’zの曲が多用されているのは、旦那の趣味に違いない。
こういう演出は定番、のような売り出し方をしているというような話も聞くが、寡聞にして実際に目の当たりにしたのは初めてである…何回もこういう所に出ていると、目が肥えてしまったような気がするのは、気のせいだろうか。
で、2次会は地ビールレストラン???
ある意味賭けですな。

当人の地ビール好きも相まって地ビールレストランに移動しての2次会であった…が、自分の世代に限った話なのかは定かではないが、ビールはイッキ飲みの定番となっている。何が起こるかは大方予想と経験則に従うこととなる。地ビールを味わっている余裕など勿論ない。
(私の記憶が確かならば)学生時代に結構な酒の強さだった当人をして「危なかった」と云わしめる位の勢いだったところをみると、通常考えの及ばないレベルのビールが飲み干されたことは想像に難くない。
時計代わりの観覧車が宴席の終わりを知らせる頃には周囲の明かりも落ち始め、ジョッキからこぼれたビールが雨となって振りはじめていた。
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Last Updated on 2009/03/09