燃える罠からの脱出(後編)

朝ラッシュ時に国分寺駅変電施設火災の呷りを食らって暫し車中に缶詰になり、脱出できた頃には最初に車外へ誘導する旨の案内があってから40分程度が経過していた。西武線が走っている脇の線路を国分寺駅まで歩き、ホームに出るまでには更に20分くらいは経過していた。
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改札階に上がると、人だかりとも行列ともつかない状況となっていた。西武線は振り替え輸送でも捌ききれないだけの乗客が殺到したためコンコースは入場規制、トイレにも男女とも長蛇の列、清算窓口にも払い戻しなどの列が出来ていた。その時点で改札口が開放されており素通りもできるようになってはいたが、Suica定期券はどこかのタイミングで「出場」処理をしておかないと次回使用時にエラーになってしまうため迂闊に素通りはできない。その点磁気定期であればその心配もない。安心して改札を素通りできる。


ひとまず改札を抜けたはよいが、国分寺駅前は消防車と救急車がほぼ占拠しており、駅前の通りには渋滞の車列。バスが来る気配はおろか動いている気配すらしないが、バス待ちの長い列だけはできていた。バス乗り場は複数あるが、どのバス乗り場へつながるのかわからない程の混沌ぶり。西武線は1系統しかないが、振り替え殺到と入場規制で実質使えない。京王線は現住所に越して来る前に区間によっては各駅停車にも乗れなかった位の混雑の酷さを十分味わっており、選択肢に挙げる気すらしなかった。それ以前に京王線最寄駅へ行こうにもバスが使えなくなっている。
伸びた行列の脇をすり抜けて駅の外へ出ると、駅前には消防車と救急車、そして長い渋滞の車列があった。上空にはヘリコプターまで飛んでいたが、AMラジオで今回の一件の情報が全くといって良いほど流れてこなかったところをみると、火災とそれに伴う列車ダイヤの乱れに関しては、大したことはなかったらしい。さて、どうするか。

数秒後、「真空地帯」が一つあったことに気づき、ひとまず歩いて国分寺駅からは離れつつ、車列を脇目にしばらく歩き、真空地帯とにらんだ三鷹へ向かう。その間、国分寺から府中方向へと続く道を埋める渋滞の車列と併走していたが、殆ど動く気配はなかった。
三鷹駅手前で緩めの渋滞があったが、「臨時増発」の看板を掲げたバスとすれ違いつつ、駅には入ることができた。こちらのバス乗り場も大変な行列となっていた。(夕方に見た某新聞社のサイトでは、自分が三鷹に到着する30分位前までは大混乱だった様子だったようだ)
駅周辺および駅構内は、三鷹駅を出て西に行く人たちのバス待ちの長い列はあったが、三鷹から東、都心方面へは何の支障もなく、階段付近を除けば座っていくことも出来るくらいだった。ある意味「真空地帯」だったのかもしれない。
総武線に揺られつつ隣の線路を見ると、回送印を掲げた中央線の電車が、各駅に止まっていた。中には、運行再開を気長に待つ方々が若干。確かに、事ここに至っては慌てるだけ無駄に違いない。
その後総武線は拍子抜けする位快調に進み、仕事場に到着したのは11時過ぎ。
・・・そういえば、その日は休みにしてしまうという選択肢もあったかも。
期せずして今朝は防災訓練のようなものとなったが、止まる直前の駅でトイレに駆け込んでおいたのは、不幸中の幸いだったに違いない。