永遠へのスリーパーホールド(松本・後編)

よく晴れた、身の引き締まる寒空のもと、朝一で挙式が執り行われた。放送の案内で披露宴会場へ移動し、ウエルカムドリンクを受け取って席に向かうと、机には引き出物の袋とパンフレットのようなものが入っていた。寄せ書きと、馴れ初めが記された手作り冊子だ。学級新聞を想起させるパンフらしきものが置いてある。
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馴れ初めに何かがあったとは以前から聞いていたが「チョークスリーパー」がきっかけで生まれた夫婦というのは、ちょっと聞いたことがない。終わりよければすべてよし、だが。


程なく会場は埋まり、主役も入場。司会からの簡単な紹介のあと、旦那さんから軽く挨拶があり、披露宴が始まった。式辞、乾杯の発声で都合5人マイクの前に立ったが、いずれも現役もしくは元学校関係者がそろい踏み…会場の中で、学校と全く縁のないのは私くらいかもしれない。こういった場はお手の物なのか、長すぎず、短すぎず、間違いもなし、できっちりまとまっていた。
続いてケーキ入刀。ファーストバイト 夫婦最初のお食事ともいいまして…の進行と共に、旦那→嫁へ一口。こちらは難なく執り行われたが、入れ替わって嫁さん→旦那のファーストバイトで会場からの「クリームたっぷり」のリクエスト通り口よりも大きな、クリームてんこ盛りのケーキを突っ込んだところ、旦那からつっこみが入り、期せずして初漫才となる。
偶然撮れた名(もしくは迷)シーンとなる。会場には2人体制の専属カメラマンがついていたが、普通の式場カメラマンなら、こんなのは…撮らないか。
漫才が一段落したところで出し物第一弾。嫁さんも巻き込んで、合唱の時間。…そういえば、歌っているところを見たのは何年ぶりだろうか。本業は音楽の筈だが、私が見たのは描いているか、書いているかのどちらかだ。
間髪を入れず、弟さんの制作による、新郎新婦の紹介ビデオ。中身はアルバム風のスタンダードなものだったが、本人が作ったり、発注したりというのはよく聞くものの、弟さんが作る、というのは珍しい。家族愛ってやつですな。
これだけ出し物が続くと、高砂席に顔を出すのもタイミングを取るのが大変らしく、出し物の隙間を縫って顔を出す方が鈴なり…かと思えばお色直し。随分な時間が経過していたことを忘れてしまうジェットコースター披露宴…かも。モノトーン→紅白に模様替えした主役2人が会場に戻り、キャンドルサービス。
これでもか、とばかりに出し物が続く。慌ただしくも賑やか。後半戦は嫁さんサイドの学校からの祝賀ビデオから始まった。潜入レポート風の凝った造りとなっていた。編集大変そう。続いては旦那さんサイドの祝賀ビデオだったが、サッカーの練習風景風と旦那さんのアップ画像が繰り返し、交互に流れて、時折会場から笑いがわき起こる。
ビデオのシメは子供達のサイン入りサッカーボールの贈呈。旦那さんはサッカー好きだからよしとして、嫁さんにも「ストレスが溜まったときにぶつける」用として贈呈。サイン入りボールにそういう使い方がありなのかはさておき、こういうときこそスリーパーホールドの出番かもしれない。あれは効く…はず。これで一通りかとおもえば今度は旦那さん友人の弾き語り。出し物てんこ盛り。
合間合間にカチカチの親父さんをはじめとする家族のみなさんが席をまわる…テーブル内で人並みに飲めるのが私くらいなこともあり、アルコール類の大半がこちらに回ってくる。チャンスは一瞬、とばかりに出し物の隙間を縫って、高砂席には行列。タイミングを誤るな。高砂席に顔を出すのも楽ではない。一瞬のタイミングに高砂席への挨拶回りが集中し、想定以上に時間が伸びていたらしく、場をつなぐのも大変…? とみえる。時間の余白は織り込み済みだろうけど。
高砂席の二人には飲むか、飲むか、飲むしかない。気持ちだけ、の一杯も塵も積もれば山となる。ちょっと、しんどいのだ…? そろそろシメの一言を頭の中で組み立てておかないと…?
しっかしまあ、料理の多いこと多いこと。もしくは食が細くなったとか。アルコールが入りすぎ、というのはなし。
丁度時間となりました、なのか、ようやく、なのか、シメの時間となった。花束贈呈に続いて手紙の朗読…こちらは存外に順調に読み上がったが、旦那さんの目に涙…? こういうのもありといえばありなのだろうか。直前まで緊張はしてい様子だったが、シメの一言は問題なく完了。万歳三唱で無事お開き。
披露宴が終わるや否や、会場の撤収で早くも係員が入ってきた。相当時間がおしていた…というのではなく、記念になりそうな物などを持ち帰り袋に詰めて用意している。残り物には福があるのかはさておき、栓を開けただけで殆ど手の付いていない紅白ワインも持ち帰りセットに仕立て上げられた。テーブルの中で一番酒を飲んでそうな私が引き受けることとなる。問答無用。
ふと、何かが焦げているような香りがする…羽根飾りが燃えている。慌てて蝋燭と飾りを引き離したが、火のつく場所が違う。高砂席だけで十分だ。
披露宴が終わって次は2次会だが、開始まで残り1時間少々。間に合うのか? と思いきや、定刻10分遅れ少々で披露宴衣装から着替えて2次会会場に到着。早っ。写真の類は開始前に一通り取り終えていたようだ。2次会会場へ移動するついでにコーヒーで一息つけようとしたが、結局店内では飲み切るに至らず、道々空ける。
披露宴が賑やかだった反動なのか、ゆるーい雰囲気で2次会は始まった。場内全員からの質問タイムのあと、定番のビンゴ…だったが、ドラえもんの道具がキーになっている。
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…当たったはよいが、商品は入浴剤。そういえば、昨年末の忘年会でも入浴剤を当ててしまった。
困ったことに、最近入浴剤を引き当てることが多い。自宅の風呂ではバスタブの材質の問題のため入浴剤が使えない。この手の品物は好きな部類に入るが…出番はいつになるやら。
生活用品からガンプラまで、夫婦の趣味が色濃く出た景品だった。よくよく考えると、袋の色でわかるようになっている。
景品が余ったのか、じゃんけん大会も行われることとなった
結局、キスもチョークスリーパーの再現もなしの、かなりゆるーい雰囲気でかなり早い時間に2次会は終わった。
これで私の周囲の結婚式ラッシュは一通り済んだことになるだろうか。既に出産ラッシュが始まっている。挙式披露宴の方は親族として出動する分が2件ほど残っているが、いつになるやら。今のところ目処はない。
…どうでもよいが、2次会でワイン飲んでたのは私だけ?