Text on Firebird

午前零時過ぎ。
誰も来る筈のない部屋で一人静かにキーを叩く。いや、例によって指に任せて書いていると言った方がいいかもしれない。一つの単語を選ぶのに5秒程じっくり時間をかけながら、そうして書いているのはネタだった。誰が読むのかはさておき。
毎月始めにすることにしていたアクセスログの集計に手をつけたのはつい先頃、日付が変わる直前のことだった。それまでの傾向からそんな感触がしていたが、7月も着実にアクセス件数は減っていた。


反射的に何をするまでもなく、構想だけは練っていたこのサイトの模様替えを形にしようとしたが、ブラウザで開く度にその試みは打ち消された。4度程作っては消しを繰り返し、ネタの追加に切り変えることにした。
此処最近は殊にそうなのだが、単なる暇つぶしの種の筈ながらネタを書くのは、簡単なことではない。どういう言葉をどういう法則で用いれば今の心境を正しく吐き出せるのか、見当も付かなくなっていた。洗濯機を回しながら、蒸し風呂の中で思案を試みたが無駄だった。
どうにか書き出したのは、オリオンビール1缶目が半分方空いた頃だった。数行ほど打ったところで晩飯を食べていなかった事に気付いたものの、時既に遅かった。ただ、BGMは古い方のノートでランダムに流しているMP3で、こっちの方は適当な頃合いにHi-standard等が入ってくる辺り、正解だったかもしれない。柄にもない代物を言葉に綴るのには、ちょっとした勢いが必要だ。
書き直しはしないと決めていたので多少は慎重にならざるを得なかった。ただし、手抜き癖はいつまでたっても治らない。真っ白な画面に一つずつ文字を叩き込んでいき、2缶目が7割方空になる頃に書き上がった。
一度だけざっと読み返してネタ帳を保存し、そのままいつもの要領でサイトへ直接ネタを放り込む。残りを飲み干し、パソコンを落とせばそのまま床へ身を放り出すのみ。
更にもう1缶を一気に流し込んでしまうかと少しだけ考え、どうにかその誘惑を振り払う。重くなった腰を上げ、黄色いカーテンの裾から窓の向こうを覗くが、大した変化はなかった。ゆいレールの始動まであと数時間だったか。
次に目覚めたとき、行間に何を書いたか覚えている自信はない。
いや、元より考えていなかったか…
何かと大変やな。
ネタの投入序でに見たBBSに呟く。