寮祭顛末記(うどん編)

時は秋、毎年恒例の寮祭が行われていた。寒中ロードレースでがたがたになった体をぎしぎしきしませながらも、すでに次の行事への支度は始まっている。寮祭最大のバカ騒ぎイベント
『第3ラウンド:演芸館』
である。
寮内が4つのチームに別れ、ネタ・衣装・小道具などを自前で仕込んで、当日はじける。「演芸館」の準備を進めなくてはならないのだが、平日はまじめに学校へ出なければならない。そのため準備や練習は夜になるのだが。


他のチームが黙々と練習に励んだり、箝口令を敷いてネタの流出にピリピリしたりしている一方、私のいるチームは準備もそこそこに当日を待つ。というか、それ以前に人手が集まっていない。
そんなこんなで当日はやって来た。結局4人しか人手が集まっていない。まずいではないか。が、手はまだある。
出番が訪れ、ステージ上にテーブルと「すうどん」が用意された。「すうどん」といえば具のないうどんに酢のおつゆ。え? 何か違うってぇ?
1年の時に住んでいた寮では、行事の際に「すうどん」や「さけちゃづけ(お酒のたっぷり入ったお茶漬け)」をみんな楽しそうに食べてたんだけどなぁ。
それはさておき、うどんといえばやはり七味。うどん屋・そば屋にあるような七味の小瓶が用意された。もちろんこれをうどんにかける。かけられるだけ。詰替用の七味もたくさんある。
4人しか集まらなかったが、これ幸い。これよりこの「少数精鋭」で、ステージ上にて「Not100」を行う。知っている人も多いとは思うが・・・
・あらかじめ決められた順番に交代でうどんに七味をかける
・1回(1振り)かけるごとに大声で回数をカウント
・一度にかけられるのは3回まで
・100回目に入れた人が負けとなり、その人が七味たっぷりのうどんを食す。
観客としてきていた寮のOBを「スペシャルゲスト」としてステージに引きずり込み、「Not100」スタート。ここから先の台本はない。もとより作っていない。
はじめのうちはサクサクと、粛々と進んでいったのだが、70を越えたあたりから七味をかけるテンポがガクッと落ちる。
「金貸してたやん」
「女のコ紹介してやったの忘れたんかい」
などなど、ステージ上では少しづつトークに火がついてくる。トークではなくて暴露大会かもしれん。しかし台本はない。迫力はそこそこある。
80、90と進むにつれ、ステージ上のトークはさらに白熱。「(ピー)」「(ガー)」など、筆舌に尽くしがたいネタが次々と出てくる出てくる。会場も盛り上がる。
91,92
うどんに唐辛子が入る度に会場から歓声がわき起こる。ステージからの声に応えて、七味の中ふたをとって一びんまるごと七味を振りかける者も・・・ここまでて、七味は小瓶にして4本分消費された。うどんのおつゆが赤い。
他人事と思ってさらにわき上がる場内。
93,94
一つ目の山場が訪れる。「あと何回(七味を)入れたら自分のセーフが確定するか」「だれがアウトになるか」の計算が本格化する。ステージ上は半分けんか。やめなさい、そこ。観客もめいめいで計算して、「1回だけでいいぞ」「○○をあたりにしろ~」「あと3回だ!」
9回裏2アウトでもないのに、「あと1回」コールがするではないか。
とりあえず、このへんで我輩のセーフは確定。しかし、まだ終わってはいない。私の番が来た時点で96回目。2人先には「スペシャルゲスト」がいる。3回入れれば次の人大当たり、となるのだが、2回だけ入れる。
98
2人先には「スペシャルゲスト」。通常なら次の人は1回だけ入れて自らはセーフ、となる。しかしスペシャルゲストがゲストなもんだから、うかつに「七味たっぷりの酢うどん」を、食べさすわけにもいかない。というわけで「1回だけ入れて自爆」という選択肢も出てくる。さぁ、どおする?
99
しかし、お約束通りというか、1回だけ入れた。はい、これでスペシャルゲスト様「すうどん」大当たり!
・・・・と思いきや、
97
カウント戻っとるやんけ! ここでこういうアドリブ出る? 非常にまずい。ゲストの3人先には我輩。
98,99
1発逆転、当たりくじは私にまわってきた。場内には大歓声・どよめき・笑いがごちゃ混ぜになっている。ステージ中央の「すうどん」には、山のような七味。
そして、ラストコールと共に自らたっぷりと七味をかける
100ぅ~っっ!!
台本ナシにも関わらず「Not100」はすばらしい幕切れとなった。後に残るは「すうどん」だが・・・。
もちろん食べた
辛いのか酸っぱいのかわからないうどんを食べる姿が会場に笑いを呼ぶ。笑いは体を張ってはじめてとれるもんなんスね(ほんまかい)。
でも、この笑いも後から登場したチームの迫真の演技によって、あっさりとかき消されていった・・・・とさ。(つづく)
いまごろになってようやく出てきた原稿だったりする(^_^;
Rec:1999-3-7/Mix:1999-3-10