FIREBALL

「う~らあ~めえ~し~やあ~」
幽霊とセットで出てくると言ってもいい、ひとだま。薄暗くいかにも気味悪そうな墓場なんかによく似合う。正体について一時期論争になったこともあったとかなかったとか。歌舞伎などではアルコールを染み込ませた綿の玉に火をつけて「ひとだま」を表現している。そのセットが花火売り場においてあったのには驚いた(私にとってうれしくもある)。そうやって作った「ひとだま」だが、実際に見たという人に見てもらうと、炎の燃え方がよく似ているそうだ。ちなみに実際に見たという人には、近所の墓場で土葬が行われていたという人が多い。察しのいい人はある程度見当がついたことでしょう。


おばけの世界の話では、「この世」に何らかの思いを残している人の魂が「ひとだま」になると言われている。で、墓場から幽霊と一緒に現れて恐怖を醸し出してくれるのだ。さて、このごろ人気のある某4人組の曲の詞にはよく「魂」なる意味の言葉がよく出てくる。かの矢沢英吉様も「ロックは心だ」と言っていた。音楽と魂・心ってえのはっながりが深い。というか芸術を創造する人についても同じことが言えそうな気がするが。思っていることが「ストレート」に出やすいみたいだし。はたまた魂で動いているようなものなのか?そういや、あの人(複数いる)も感情の起伏が激しいなあ(笑)。私の身近での場合、まずマンガやエッセイの類をよく書くあの人がそうだし、ラーメン…もといカラオケ大好きのあいっもそうだ。音楽が魂・心から生まれるものならば、その逆は…?
たぶんある。
とあるホームページで「特効音薬CD」なるものを扱っているところがあった。安眠に導いてくれるもの、心の高鳴りを抑えてくれるもの、疲れを癒してくれるものなどがあった。効き目はいかほどのものかは知らないが、音楽にはこんな使い方もあるそうだ。このホームページではなかったが、「酒の味をよくする」「肉牛の体調をよくする」といた実験も大まじめに行われていて、ある程度の成果が報告されているってえじゃあないの(驚)。ただの空気の振動のはずなのに。
げと、考えてみれば携帯電話に使っている電波もやっぱりただの振動だ。その電波に会話の内容を乗せることができているから「ただの振動」が電話になる。音楽も空気の振動に何か情報がのっかっているにちげえねえ!そのことに関して少々思い当たる節があったので、私は昔の講義のノートをひっくり返して調べてみた。
あった。「人間の情報処理」なる科目のノートに、音を聴くことで刺激を受ける脳の部分についての一節があり、それには
同じ曲を同じ人に東洋・西洋の楽器で聴かせるという実験を行ったところ、それぞれの場合において脳が刺激を受ける部分に違いが認められた。
と記録してあった。これに関してはほぼ間違いはあるまい。きっちり「優」をもらえたから理解度は十分だ(…といへるのかあ?)。そうそう、他にも一音楽を耳にすると頭の中にイメージのようなものが形成されて、暗示にかかったようになることがある」とか、「音楽が記憶と結び付いて思い出すときの鍵になりやすい(中国歴代王朝暗記の歌がそのいい例だ)」なんてことが書いてあった。「音に酔いしれる」こともなきにしもあらずんば…なのだ。普段なにげなく聴いている音楽にもいろんな情報がぎっしりのっかっている。耳が、脳がそれをひも解くときに何かが起こるかもしれない。
私の場合にもそんなことがあって、「奮い立つ曲」とか、「眠れなくなる曲」「テンションが高くなる曲」「走っているような気になる曲。なんてものがある。曲を聴かなくてもタイトルを見ただけで昔あった出来事を自動的に思い出したりする曲なんてものもある。困ったコマッタ。
そんなときには「魂に火をつける」曲でちょいと渇を入れるとしましょうか。どこから炎や力が涌いてくるのかは知らないけれど、結構役に立っているのだ。私の「特効音楽CD」は。
Rec:1997-6-25/Mix:1998-1-2