北斗の叫び~食欲ある限り(十勝 中編)

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愛国駅と幸福駅はセットで行っておかねばなるまい、ということで幸福駅の公園へと足を進めるが、広大な平野にに突如として観光バスの一団が並び、売店らしき建物には人が群がっている。
驚きつつも公園に入ると、バスの車体にはどこかで見たようなペイントが。間違いなく、数日前に富良野で見かけた、台湾&香港方面からの観光客を乗せたバスだった。こんなところにまで足を運ぶとは、恐るべし。


そのためか、かつては「愛国→幸福(途中下車無効)」の区間に日付のバリエーションだけだった記念切符にも新型が登場している。新たな区間として「台湾→幸福(無期限有効)」「香港→幸福(無期限有効)」が登場していた。笑いが止まらない。全くもって、ここはどこだ。
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お約束というか、この駅は結婚パーティーの類にも使える…のだが、どことなくかすんでしまっているように見える。愛国~幸福駅は新たなステージに進んでいた。
全くもって、ここはどこだ。
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一息ついたところで踵を返し、帯広市内であらかじめ調達しておいた蒸しパンをつまみつつ北へ向かう。
宿へは国道と帯広市街を直線で抜けていった方が早いのだが、ちょっと寄り道してのんびりと放牧地帯を抜ける。近くに空港と高速道路の工事現場があり、騒音はそれなりにあるはずなのだが、どこ吹く風の牛。
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帯広へ向かう途中、池田の駅前で見かけた巨大コルク抜きが気になり、ワイン城に立ち寄る。外見は石造りで、観覧車が併設された一見何の建物だかよくわからない施設だったが、近づいてみて驚いた。どことなくワインの香りが漂い、俄にスイッチが入る。
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中の見学コースに入るや否や、立ち並ぶワインの樽と瓶に心躍る。半分は熟成用で、残りは研究用に取ってあるものだという。手前の樽は記念撮影用。中に入れます。私は入りました。さながら黒髭危機一髪。
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ワインは大人の飲み物だが、そこは観光施設。ワインを使ったお菓子類もおいてあり、子供もそれなりに退屈しない…ようにはなっているのだが、ふと見ると子供のお遊びコーナー一面にワインのコルク栓が敷いてある。見た限りでは未使用なのか洗浄済みなのかは不明。ワインの香りもするようなしないような、といった程度なのだが、これが教育上よいのかは定かではない。安全上は問題なさそうだが。
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試飲をしつつ、記念にオリジナルラベルのボトルを作ってもらった。ワイン城と酒樽をバックに記念撮影をし、その場で印刷。中身はワイン城で普通に売っているものと同じ。
よく見ると、ラベルプリンターにもどことなく中国語が…来るのか。

ボトルができあがったところで、十勝川の温泉宿に向かう。
今回の旅行の中で一番の贅沢をしている場所、といっても差し支えあるまい。
旅行の準備は早めに進めておいたつもりでいたが、今回の宿は最後の1部屋に辛うじて滑り込めた。
入り口をくぐった時から、かなりの贅沢をしている感触がする。長旅お疲れ様ということで靴の手入れサービスが付いてくるというから、目の付け所が違う。
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部屋へ通されると、琉球畳の部屋に、眺めのよい居間と檜の内風呂。少し水が張ってあるのは、檜風呂の保護のためという。じっくり寛げそうだ。釧路で宿代をケチった反動なのかは定かではないが。
館内専用の浴衣に着替え、十勝川と独バーデンバーデンにしかないというモール温泉(植物の化石がとけ込んだ褐色の温泉)に浸かる。夜九時で檜風呂と展望風呂が男女入れ替えになる、というのが美味しい。加えてそんじょそこらの温泉のような、塩素系の臭いがしない。
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一風呂浴びると、夕食の時間。
十勝牛に時知らずの焼き鮭など、道内の、しかも十勝近辺の素材を中心に作ったコースが出てきた。
昼にあれだけ食べておいたのにこれといった違和感もなく入っていくのは、美味しいからに他なるまい。今回の旅にあたり、どちらかというと農産物、畜産物の方に期待がシフトしていたが、海産物も鮮度十分。
加えて、デザートの後にデザートが出てきたりとなかなか面白い趣向も。
さらに、お夜食が付いてきた。
あまりの贅沢加減に、写真撮影もしばしお休み、というか、デジカメの音などをさせるのもどうかと思える位の落ち着いた場所でゆっくりと夕食を堪能できた。
そういえば、ここで飲んだ地ビールは昼に工場で飲んだものと味が違う。ひょっとすると地ビールメーカーが2軒あったのかもしれない。市内に地ビールレストランが2カ所あったのはそういうことなのだろうか。ビールのみならず、ビール酵母漬けも美味。これは早速買って帰らねば。
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この日一日だけでかなりの贅沢をしてしまった。遊び疲れにも似たような充実感…
不覚にも寝てしまった。
ふと気が付き、目が覚めるとかなりの時間が経っていた。そういえばと夕食の際に受け取ったお夜食の籠を開けてみると、中はいなり寿司。心憎い。