親父と息子

「いい加減彼女作ってこい」
帰省する度に親父とお袋が決まって口にする。
私の女っ気のなさを嘆いているのだが、高校時代にモテまくった(らしい)という親から見れば今の私は異常としか思えないらしい。なんでやねん?
うちの親は、私が同世代の女の人と話をしているところを全く見たことがない。ご立派。「男は狼・女は狐」などと吹き込まれた覚えは全くない。私本人はそういったことが結構あるとは思っているんだけど。
高校時代、放送部でアナウンサーをしていたのだが、その当時の部員構成は女子の比率が圧倒的に多かった。同期の野郎は私の他にはたったの2人。1代前は3人、さらに1代前に至ってはたったの1人。1代後は例外的に男女半々だったが、その次の代はやっぱり2人。この部は伝統的に女子部員の割合が圧倒的に高い。その話を親にしたところ、目を丸くした。「うそでしょ?」


野郎の割合が少なくても、部活にはさして影響なかったんだけどねぇ。力仕事が若干多いくらいだったかな。
大学に入って最初の1年間を松本で過ごしたのだが、そのときに入っていた寮(こまくさ寮)に別棟とはなっているものの男女両方とも居住していることを知ったときも似たような反応だった。どうも、「変な心配」をされているらしい。
ま、1年間住んでみて「男子棟と女子棟の区別があってないようなもの」という現実を目の当たりにすればその理由もなんとなくわかるのだが。
「できちゃった結婚」の話を耳にすると、親は決まって「心配そうに」電話ををかけてくる。
でもその一方で「期待」もしていたようだ。「女友達を見つけて遊びにつれてこい」という一言にそれがにじみ出ている。
心配ももっともなんだけどね。なんだかんだ言っても「子は宝」だし。
近年の学生は実家に連絡を全く入れない人が多いらしく、生協の方で「学生の近況報告」の冊子を作って実家へ送ったところ、大盛況だとか。かえってきたアンケートはがきを見せてもらったことがあるんだけど、そのなかにも「息子からの連絡がさっぱりなくて・・・・」といった声が多数合った。信州大学長野生協のホームページの中にバックナンバーが保管してあるので、ついでに読んでみてください。
この取り組みは、全国の大学生協関係者の間で注目されているそうで。見事に親心をずばっとついた鮮やかな取り組みである。なんだかんだ言っても「子は宝」だし。
私は秋頃に携帯電話を入れたのだが、、以前にも増して親から電話がかかってくる回数が多くなった。で、開口一番「元気か?」同様の内容の手紙が時たま送られてくるお米と一緒にくる。
便りのないのはよい便り、とは言うのだが、やっぱり心配らしい。自分の子が事故ったり、大きな病気になったりしたときにはすっ飛んで駆けつけてくる。私にはまだそんなことがなくて幸いなのだが。「断片しかわからない」ことって、結構不安にならない?
私もいい加減22になる。うちの周囲や中学や高校の同期の中にも、「結婚」だとか「同棲中」の話が風の便りに聞かれるようになった。実家のあるところは典型的な農村なので、年を経るごとに「あの2文字」を命令口調で口にする人が多い。遅くとも20代はじめには結婚してしまっている世代の人から見れば、確かに異常ですわなぁ(笑)。
この間、実家へ「田植えの体験取材にきた」という後輩の女の子(現在慶応ボーイとメールで文通中だってさ)を連れていったところ、親父もお袋もひっくり返った。さすがに泡は吹かなかったが。
Rec/Mix:1998-5-30