「拡張編」カテゴリーアーカイブ

高速化へのアプローチ

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世は高速データ通信のニーズがさながらうなぎのぼり。固定通信の世界でも、ADSL、ケーブルテレビ、果ては光と高速大容量への一本道をまっしぐら。いくら導入当時最新の通信方式といえども、ユーザー数やユーザーあたりの通信量が増えるとたちどころに大渋滞。
さしものCDMAといえども、この流れには逆らえない。いや、既に通信速度を高速化するための手法がある程度検討・確立されている。ここでは主なものを3つ挙げてみることとする。

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BCMCS

これまでの無線通信のシステムは、無線の帯域を時間なり符号なりで細かく分けて、それぞれを基地局~端末間の1対1で使うものが主であった。そこへTVやラジオ同様の「1箇所から送信し、複数の端末で同時に受信」という考え方を組み込んだものがBCMCSである。
最大のメリットは、どれだけ端末が増えても、送信に使うチャンネルが「番組あたり1つ」で済むことだ。受信のみに限定されるが、1つの基地局エリア内にどれだけ端末が増えても、それらが同じ番組を受信している限り、回線が混み合うことはない。その代わり、1台の端末が受信に失敗した場合、データをその都度再送していると他の端末が巻き添えを食らってしまうので、再送は使えない。再送となることが起きないよう、最も電波状態が悪いユーザーに合わせて、ノイズに強い変調を使わざるを得なくなるが、送るデータに強力な誤り訂正をかけるなどの対策で、できるだけ速度と受信条件の両立を図っている。

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1xEVDOとHSDPA

1xEVDOというのは、現行のcdmaOneシステムに少々設備を追加するだけで使えるようになる高速データ通信システムのことである。現行のcdmaOneと同じ周波数帯域幅(1.25MHz)で受信速度が 600kbps前後は確保できようになると言われており、データ通信に限って言えば1xやcdmaOneとは文字通りの桁違いとなる。。ちなみに最大受信速度は2.4Mbpsとされている。また、W-CDMA(FOMAなど)では5MHzの帯域幅を使っても384kbpsで、その拡張版ともいえるHSDPAは仕様上14.4Mbps(受信のみ)。

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マルチコード

通常、伝送速度を上げるにはチャンネルあたりの速度を上げるか、複数のチャンネルを束ねるかとなる。伝送速度を上げるには、大概は伝送路を物理的にいじることになり、大がかりな話になる。チャンネルを束ねるとなると、FDMAやTDMAの場合は変調~送信~受信~復調までを行う送受信機がチャンネル数分だけ必要になる。
しかし、CDMAでは比較的簡単に複数チャンネルを束ねることができる。
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Voice Activation

効用:送信電力を絞って他のユーザーがうける干渉を減らす。
電話では、互いが同時にしゃべることがまずないからだ。電話がつながっている間、1人がしゃべっている時間は全体の4割程度という統計があるそうだ。
もともとこの操作は衛星通信のころから、必要なときだけ信号を出して(電力を消費するようにして)、人工衛星等の通信設備の消費電力を抑える目的で行われていた。今日に至るまで、携帯電話本体にも同様の目的で同様の機能が端末に組み込まれているものがあった。

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マルチバンド

CDMA、もといスペクトル拡散方式の通信では、信号の拡散率が高いほど雑音・干渉の排除能力が増す。しかし、帯域が広いと無線機に高い信号処理能力や歪みの少ない精密な増幅能力が要求される他、「周波数選択性フェージング」の影響を受けやすくなるなど、取り扱いが難しくなってくる。
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そこで、W-CDMAの規格を作り込む段階では、送ろうとするデータに応じて4段階のチップレート(1.024~16.384Mchip/s)&周波数帯(5~20MHz)を切り替えて使う「マルチバンド」の導入が検討されていた。

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EVRCとAMR

CDMA方式を現実のものとした「鍵」の一つに新手の音声符号化方式…音声をデジタル信号に変換する方法…の登場がある。cdmaOneでは EVRC(“Enhanced Variable Rate CODEC”の略)、W-CDMAではAMR(Adaptive multi-rate)が用いられているが、これらは「可変速度符号化」を軸にした音声符号化方式であり、その狙いは発信するデータを時々刻々の最小限に抑えて他のユーザーがうける干渉を減らすところにある。
CDMA方式の通信ではたいていの場合、アナログの音声をデジタルに変換してから、スペクトル拡散を行う。都合2回操作を行うが、「可変速符号化」では1段目のアナ→デジ変換のスピードを変える。いや、間引くというべきか。

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