「拡散符号系編」カテゴリーアーカイブ

送信側と受信側で使うPN符号

最近のCDMA通信システムでは、複数のPN符号を使い分けている。cdmaOneの場合では、
* Walsh符号:端末~基地局間のチャンネル識別用
* 長周期M系列符号:端末の識別&送信情報のスクランブル用
* 短周期M系列符号:基地局セクターの識別&送信情報のスクランブル用
の3つを目的に応じて組み合わせている。これらのPN符号は別途用意された制御用チャンネルを使って端末~基地局間でPN符号の種類を示し合わせてから、通信を始める。

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Walsh符号

直接拡散型CDMAでは拡散符号を使ってユーザーの分離を行っている。使用する拡散符号の相互相関値は0に近い程よい(2つの符号の間で、あっているビットと違っているビットの数が同数に近いほどよい)。しかし、符号のパターンはある程度豊富でなくてはいけない。
そこでcdmaOneでは拡散符号に64ビットのWalsh符号を使っている。「Walsh符号」は2値関数版のフーリエ変換といった方が近いかもしれない。cdmaOneの最新規格ではWalsh符号の長さが128ビットに拡張されていて、そのままcdma2000にも採用されるとのこと。

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Gold系列

M系列には、相互相関値を常に低く押さえることのできる「プリファードペア」が少ないこともあり、実際にはなかなか使われていない。そこで考え出されたものの1つに「Gold符号系列」がある。Gold符号系列は、周期が等しく、「プリファードペア」である2つのM系列を単純に加算することで得られ、符号の発生回路もM系列のものを流用できる。
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主な特性は次の通り。
1.符号長がkビットの場合、1つの回路からpower(2,k+1)通りの符号系列が得られる。

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M系列

非同期系DS-CDMA方式の拡散符号によく使われるのが「M系列」である。このM系列は、シフトレジスタを使った回路で簡単に生成できる。
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M系列の主な利点を挙げてみると、以下のようになる。
1. 1周期中の0と1の発生確率が一定である。必ず0が1つだけ少ない。
2. 0または1がそれぞれ連続して現れる確率が乱数とほぼ同じ。
3. 電力スペクトル分布が熱雑音と同じ

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同期と拡散符号

CDMAには、ビット間同期のとりかたによって「同期型CDMA」「非同期型CDMA」「準同期型CDMA」に大きく分類される。
「同期型CDMA」は、データを送信する際にあらかじめ何らかの方法でビット間同期(送信タイミングの同期)をとる。このため使用する拡散符号の「位相のずれ」がなく、適切な直行符号系を使うことで相関値を0にすることが理論上可能である。ただし、完全な同期をとるのが難しいのが難点である。そこで、位相のずれに少々の許容範囲を設けたのが「準同期型CDMA」である。

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拡散符号に期待される性質

CDMAを使ったシステムでは、拡散に使う拡散符号とその「相関値・相関関数」が重要な鍵となってくる。
使用する符号には次のような性質を持つとよいとされいる。
1. 異なるユーザーが使っている符号系間の相互相関関数の値が常に0に近い。
2. 自分の使っている符号系の自己相関関数の値が「周期的なインパルス関数」っぽい形になる。
3. 容易に生成できる
4. 0と1がほぼ同率で現れる
5. 拡散符号の自己相関を得るのに比較的長時間を要する

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セルと拡散符号

移動体通信システムでは、あらかじめ通話エリアを「セル」と呼ばれる区画に区切っている。この「セル」は1つの基地局から出ている電波の届く範囲がもとになっている。TDMA/FDMAのシステムでは、電波の混信・干渉を防ぐために隣り合ったセルでは同一の周波数帯を使わないように基地局で使う周波数帯を割り当ててある。
一方、CDMAを使ったシステムでは、拡散符号のパターンが異なっていれば同一の周波数帯を使っていても混信することはまずないので、どの基地局でも同じ周波数帯を使えるようになっている。

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