「導入編」カテゴリーアーカイブ

CDMA/スペクトル拡散の有効範囲

スペクトル拡散はいつでも基地局と端末の間で行なわれている。基地局から先は普通の電話とほとんど同じであり、cdmaOne同士の場合は、相手の最寄りの基地局で再びスペクトル拡散されることになる。
CDMAの携帯が、普通の携帯(PDC規格)やPHSはもとより一般電話と通話する時は、基地局から「関門局」を通して他の電話につながるようになっている。この辺は無線というより、交換機の世界と言ってもよい。データ通信の場合もほぼ同様となる。

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有線区間を流れる信号

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CDMA方式の通信では、端末で拡散符号を掛けられた信号、は基地局では、もう逆拡散を掛けられている。有線区間では原則として固定電話と同じ信号にまで戻している。
ただし、「コーデックスルー(CODEC thru?)」を有線の区間で採用している場合は「音声をアナ→デジ変換をかけた状態」で送られている。
「コーデックスルー」は、CODEC(音声のデジタル符号化)の方式が話し手側・受け手側双方とも同じ場合にのみ可能な手法である。

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相関値

CDMA・スペクトル拡散を理解する上で重要な鍵となるのが相関値である。
相関値は「波形の類似性」をあらわす値である。数学チックな言い回しでは「2つの関数の波形の瞬時値の現れ方の類似性」となる。相関値を求めるには、「対象の2つの関数を掛け合わせ」てから「一定の区間について積分」することになる。
2つの関数 a(t), b(t)について相関係数(絶対値が1以内に収まるようにした相関値)を計算した場合、
・1ならば同一…a(t) = b(t) であり、

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QPSK

移動体を問わず、通信でのデジタル変調方式には
・振幅の有無でデータを表現するASK(Amplitude Shift Keying)
・周波数レベルで表現するFSK(Frequency Shift Keying)
・搬送波の位相の変化で表現するPSK(Phase Shift Keying)
などがあるが、その中でも好んで使われているものにQPSK(Quadrature PSK)がある。一見「スペクトル拡散」とは離れてしまうようにも見えるが、QPSKにはCDMAにつながる重要な鍵が隠されている。
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周波数ホッピング

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「CDMA」を実現させる「スペクトル拡散」の手順には大まかには2通りあり、登場した「直接拡散」と、「周波数ホッピング(FH:Frequency Hopping)」という方式がある。
直接拡散方式では、1次変調した信号にPN符号を直接掛け合わせてスペクトル拡散を行うが、周波数ホッピング方式では、1次変調した信号を、適当なタイミングで周波数変換をかけることによってスペクトル拡散を行う。

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拡散・逆拡散のしかけ

拡散・逆拡散に使う拡散符号は、通常デジタル変調波と同じく2つの値をとるが、その変化の周期はデジタル変調波のものよりも一定以上速く変化するようにしてある。
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最初の変調波の変化のスピードは「ビットレート」、PN符号のスピードは「チップレート」と呼んでいる。また、ビットレートとチップレートとの比を「拡散率」と呼んでいる。ちなみに、cdmaOneでは128倍(拡散符号がデジタル音声信号よりも128倍速く変化する)になっている。

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スペクトル拡散

CDMAのもとになっているのが「スペクトル拡散」という手法である。スペクトル拡散には
・直接拡散方式(DS方式)
・周波数ホッピング方式(FH方式)
の2つのやり方があるが、ここでは直接拡散方式を取り上げる。
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ふつう、携帯やPHSはもちろんのこと、TV/ラジオなどの無線を使った通信・放送では、音声などのデータを適当な形に変調してから送信する。受信側では、送信側で使っている変調方法に応じて、適当な方法で復調してもとの信号をとりだす(図の黒線のルート)。なお、ここでは詳細は省くが変調の方法は信号の強さを変えたり(これはAM)、周波数を変えたり(FM)等々、手法は様々ある。

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CDMA

CDMA = Code Division Multiple Access/符号分割多元接続
ケータイが普及してくると、TDMAでも加入者を捌ききれなくなってくる。加えて携帯電話は通話に加えてWebアクセス機能も持つようになり、データ通信での速度も要求されるようになってきた。そこで注目を浴びたのがCDMA。
この方法は、「スペクトル拡散」という方法を使って、1チャンネルの周波数帯の幅をTDMAやFDMAに比べて広くする代わりに、1つのチャンネルを今までとは比べものにならないくらいの数の人が使えるようしたものといえる。(ハーフレートPDC規格ではチャンネル幅は25kHzだが、cdmaOne/1x/WINでは1.25MHz、FOMAでは5MHz!)

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TDMA

TDMA = Time Division Multiple Access/時分割多元接続
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携帯電話が出始めた頃は、ユーザーの数はFDMA方式で十分対応できる位だったが、ユーザーが次第に増え始めるに従ってチャンネルが不足がみられるようになってきた。
そこで、それぞれの周波数チャンネルを一定時間ごとに「スロット」に分割し、複数のユーザーで1チャンネルの中の「スロット」を順番に使う方法が採られた。これがTDMAで、音声信号は各スロットに収まるように圧縮される一方、スロットを使う順番はごく短時間(ミリ秒単位)のうちに回ってくるうえに、かつスロットに分かれた中身を相手側でつなぎ合わせて元に戻すので、話がみじん切りになるようなことは起こりにくい。少し前まで国内・海外で使用されている携帯電話は、この方法が主流だった。

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FDMA

FDMA = Frequency Division Multiple Access/周波数分割多元接続
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携帯電話には電波の「周波数帯」が割り当てられているが、FDMAではこれをさらに細かく区切って「チャンネル(キャリア)」を作り、これを各ユーザーに割り当てる。
同じチャンネル(周波数帯)を2人以上の人が同時に使わない限り、話の中身(信号)が混ざりあう(これを混信という)が起こることはない。この方式は初期の携帯電話…HiCAPやTACS(懐かし~)で使用されていた。日本国内には現存しない。