ER

その日は朝から様子が変。
木枯らしを思わせる急速な冷え込みに誘われて寒気とだるさが続き、身体を温めて対抗したが回復が今ひとつ。それでも食欲は人並みにあり、何事もなく夕食と風呂を済ませ、さて一杯…の直後に異状発生。
血の気と意識が退いていく感触を検知しひとまずしゃがんではみたが、冷や汗まで出てくるなど異状は加速。その場で横になってようやく安定をみたようだ。
とはいえ冷や汗が続くなど正常な状態には程遠い。急遽夜間外来に担ぎ込まれるに至る。そこは当地のERでもあったが。


電話連絡の後に窓口に赴くと、待合室の繁盛ぶりが目に入ってきた。咳き込む親子、点滴共々ベッドで搬送される少女、立っているのが不思議な位の症状ながらも一人車で来院したという年配の猛者など阿鼻叫喚というほどではないが、ただの外来とは一味違う雰囲気。
待ち時間の自分の血圧測定結果も平時とは程遠い低さだったが。
血染めの診察室にて診察を受け、処置室に移る。脱水状態または低血糖の疑いがあり、検査の後点滴注入となる。
左腕に点滴、右腕に血圧計、指先には血流モニター、手首足首と胴体には心電図計といった具合に機材に繋がれた様は、さながら機械のメンテナンスにも見える。
点滴を受けつつベッドに横たわっていると、周囲では即時入院やMRI検査などでベッドごと移送という患者が慌ただしく行き来している。それらに比べると、早めペースの点滴がかなりのスローテンポに感じるから不思議。丑三つ時も近づいたのか、眠気もしてきた。

目がさめると、点滴は終盤を迎えていた。電解質溶液らしきものを都合3本つぎ込んだのが効いたのかは定かでないが、血圧は平時の低め一杯にまでは戻ったらしい。
その後は経過観察観察と小辞典出先に帰投しているが、午後この後には車を転がしてで帰京ということになっている。医師からは支障なしとの診断がでているが、油断禁物であるのは間違いない。