北斗の叫び~最後の最後で(復路編)

函館からスーパー北斗にて札幌へとんぼ返り。それはなぜか。
目的はずばり北斗星の食堂車グランシャリオでのディナー。北斗星は函館でも乗車できるが、ディナーにありつくには札幌からの乗車が必須。後にも先にもそれのみ。
札幌到着までは3時間少々函館出発直前に積み込んだ食料で腹ごしらえ、といこうとしたが旅の疲れか車中でウトウト。途中で目が覚めて食料の存在を思い出し、お腹に入るだけ入れようとしたが、入ったのはコーヒーと社長サイズごま団子の一部。チャイニーズチキンバーガーと酢豚バーガー&森駅で積み込んだいか飯は時間切れで持ち越し…一晩程度は保ちそうな気もするが、いつ食べるんだ?


結果としてそのあとのディナータイム用のお腹の隙間は確保されたことにはなる。良かったのか悪かったのか。
発車までの間にお土産調達も、ということで札幌から釧路へ移動する前にあたりを付けておいた通りに某デパ地下で札幌スフレ、スープカレー、トドカレー、エゾシカカレー、白い恋人+チョコドリンク等々、場所を選ばずに買えそうな物を次々と押さえる…が、発送手段がややこしい。どの店でも発送はできることになっているが、10枚近くはあろうかというレシートの発行番号を一つ一つ伝票に控えないといけないとは。これには参った。
それでも一通り発送手続きと買い出しを終えたはよいが、後で見つかるだろうと踏んで小樽では買わずにいたワインが見つからない。お土産品売り場においてあると思いきや、酒売り場はあったものの税法上の制限と称して地元のワインをおいていない…残念。
…かと思えば、ふらりと立ち寄った「Souvenier kiosk」に、これまでに購入したお土産全部に加え、小樽ワイン他、売り場は広くはないものの品揃えは十二分。決済も発送手続きも1発で終わる。某デパ地下よりも格段と便利。
札幌駅の通路のうち、初日の宿と反対側の通路にあったこの店は下調べの際には全くのノーマークだった。不覚…と、回り道はあったが、ひとまずお土産の買い出しは完了。重量は軽いが、存外に気を遣う。買い漏らし、なし。

札幌駅のホームに上がると、北斗星が既に出発準備に入っていた。こんな列車に乗る機会、次になるのはいつになるやら、ということでホームの端に移動して列車の先頭と共に記念撮影を試みるが、機関車も含めて14両になる北斗星は札幌駅のホームに収まりきらず、機関車がはみでていた。これには驚いた。
ホームの端から再びホームの半分以上を走って戻り、その途中の売店で食料とお茶を調達して北斗星に乗りこむ。発車から程なく、同旅の締めくくりのディナータイムのスタート。座った場所が車両の中程だったのか、元々揺れが少ない車両だったのか、往路のカシオペアの様な大きな揺れはなく、ワインがこぼれないか心配をすることもない。目の前に厨房が見え、大きなフライパンをふるうシェフの姿が拝みつつ、肉の焼ける香りと共にゆっくりと食す。
メインの後にまたスープ…? と思いきやデザートのアイスだった。ココナッツミルクをかけた、スープ仕立て。
ディナーが終わり、ベッドを組み立て、デパ地下で積み込んだ札幌スフレを夜食にくつろぐ。出発間際に組み立てが難しいという車掌さんの話があったが、特に問題なく終了。どこに部品があるかと思いきや、座席の下から引き出して、レバーを動かすとベッドがせり上がってきた。程なく列車は函館に停車。機関車を付け替えて青函トンネルへ突入。
海底駅を拝むべく窓の外へ目を凝らしていただが、深夜帯のためか、トンネル内の照明との区別が付かず、いつの間にやら汽笛と共に本州突入。いったいどこにあったのか、終ぞわからずじまい。
翌朝、食堂車で朝食…という選択もあったが、前日からの持ち越しとなっていたハンバーガーの包みを開く。夏場ということもあり少々心配だったが、幸いにして甘酢あんのかかった鶏に、酢豚の具が幸いし中身は無事。
トマムの水で作った緑茶をお供にごま団子共々完食。冷めていてもそこそこいける。
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お供のこのお茶、あまりの売れ行きに350mlペットボトルが駅の売店から消えていた。500mlボトルは十分な数があったが、旅行中何本飲んだやら。
朝食は終わったが、朝の時間帯はあまり起きている人がいないのか、車内は比較的静か。洗面所でビデオカメラの充電が行われているようだが、あれは盗難水濡れなど、問題はないのだろうか。
上野到着は昼になる。後は降りるだけ、ということもありコーヒー片手に、文字放送やビデオを見て時間を潰していたら、チャンネルを変えたところでビデオが音声のみになってしまった。電源を入れ直しても、時間を置いても元に戻らない。調べてもらったら、車内を通るビデオケーブルが壊れていたケーブルが通っているのは、車体の下部。走っている間には直せないらしい…というのは内緒。残念。
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荷物をまとめつつ、シャワーを浴びる。行きのカシオペア同様、押しボタンでお湯を出したり止めたりできるで、消費量は程々で済む。…脇を見ると、カシオペアにはなかった「切り替えボタン」がある。何のボタンかと押してみると、そこそこに減っていた湯量表示がいっきにフルゲージまで復活。さらにもう1回押すと、また元に戻る。お湯のタンクが2つ用意されている以外は、カシオペア同様保温のみ、となっているようだ。
浴び終わって部屋に戻ると、窓からいつもの通勤電車が見えてきた。宇都宮、小山、古賀…刻一刻と自宅に近づいているのはよいが、窓の向こうの蒸し暑い世界がちょっと怖い…?
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思えば長い旅だった。オール陸路で北海道、カシオペアスイートと北斗星ロイヤルどちらもディナー付きに加えて宿で贅沢、札幌から釧路折り返しの函館までの移動に加えて、更に北斗星のディナーのためだけに函館から札幌までとんぼ返りと或る意味無茶苦茶。
しかし今回一度カシオペアの味を知ってしまうと他の寝台車を積極的に選ぶ気はなかなか起こらなくなってしまう…かもしれない。トワイライトエクスプレスも北斗星と同型だったかな。サンライズは…あれは泊まるだけだったか。
されど北斗星も格好の被写体となっているらしく、行く先々で、各地の踏切でフラッシュを浴びる。
北斗星は大宮を順調に通過。北海道のさらっとした環境から、一気に蒸し暑い世界に舞い戻ってきた。ドアの向こうの蒸し暑い世界に備え、上野到着30分前で冷房を止めた…が、上野に到着し、ホームに降り立った後、一瞬動きが止まった。暑い。蒸し暑い…。
北海道にいるときには風呂上がりくらいにしかかかなかった汗が、ここぞとばかりに一気に噴き出す。
スポーツバッグに積み込まれた衣類9日分(手持ちの夏物衣料ほぼ全部)が拍車をかける。このくらいの荷物になると、キャリー様々。
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ともあれ、無事に自宅に到着。しかし吹き出した汗は暫く止まる気配がない。どうしたものか…
汗を拭きつつ、旅の記憶を掘り起こしにかかる。旅程は違っても、オール陸路の旅行に再び出ているかもしれない。