Smile

忘年会シーズンともなると、夜の電車は期せずしてアルコールの香りが漂う。アルコールのせいか、妙なところに目聡くなるものらしい。
いつものように、乗車口付近で車窓を眺めつつMP3を聞いていると、付近からアルコールを含んだ笑い声がする。曰く、ヨン様がいる、と。
最初のうちは特に気にしていなかったのが、明らかに私がヨン様ということになっているのが入り口のドアに反射して見えた。短髪のヨン様…本当にいるのかは定かではない。


適当に顔の筋肉を操作したところ、その中の一部が所望のスマイルに似ているように見えたらしく、一行は満足した様子で話題を終えた。