北斗の叫び~賞味期限5秒前(十勝 後編)

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いなり寿司をつまみつつ、落ち着いた雰囲気のゆったりとした空間で時間の流れもケータイがあることも忘れ、身一つでくつろぐ。朝からこれでもかと言うくらい食べ、飲み、歩いた。
テレビもあることはあるが、見たとしても明日のお天気ぐらい…かもしれない。贅沢な雰囲気にテレビは似合わない。

翌朝は5時に目が覚める。早速とばかりに内湯の檜風呂にお湯を張る…ここでもモール温泉が出た。贅沢は素敵だ。こういうのは一度やってみたかった。まだまだ時間があったので昨夜入り損ねた展望ドーム付きのタイル風呂にも入る。かなり早い時間帯ということもあり、独り占め。


朝湯に浸かっていると、気球が見える。これだけ広大な土地のこと、競技会もしくはその練習でどこかへ飛んでいく、もしくはどこかから飛んできたのかと思いきや、上昇と下降を定期的に繰り返すのみ。展望サービスという話。
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夕食に続いて朝食も十勝周辺の材料を中心に組まれていた。これでこそ旅、といえるかも。
ビール酵母漬けがこれまた美味。昨夜飲んだ地ビールと一緒にお土産にしていったのは言うまでもない。ついでにモール温泉を使ったビールも加えておく。
朝食後もこれだけでは飽きたらず、とばかりに檜風呂に浸かると、先の観光用の気球に加えて「美人湯」と書かれたPR用とおぼしき気球も見える。結局チェックアウトギリギリまでお湯に浸かっていた。これで朝湯にはまってしまったといっても差し支えあるまい。
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贅沢イメージが先行した今回の宿だが、洒落っ気も所々に。「若菜」「春の海」等々部屋の名前に文学作品からとったと思しきものが多いのだが、「火山灰地」も何かの文学作品…なのだろうか?。困ったことにその辺はあまり詳しくない。
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宿で贅沢気分を堪能したつもりでいたが、十勝川の温泉は一晩では足りなかったらしい。温泉宿の温泉だけでは飽きたらず、隣の温泉公園の足湯にも浸かる…宿から目と花の先といっても差し支えない距離だ。
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足湯の近くには元世界一の巨大花時計「ハナック」がある。「元」を大々的に付けているあたりが潔い。この場所も台湾&香港からの団体さんで賑わう。ここまでくるともはやお約束。どちらがどちらを追いかけているのか定かではないが、この団体とは一連の旅程で度々お目にかかることができた。レンタカーのFMにMP3プレイヤーから適当な音楽をトランスミッターで飛ばしていたところ、それらしき言葉が混信、なんてこともあった。
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次の目的地は函館だが、列車の出発まで少々余裕を持たせてレンタカーを返却。移動時間の食材を調達しておかねばなるまい。当然豚丼は外せないが、道順の都合上まずは六花亭へ寄る。前日食べたばかりのサクサクパイは本当に賞味期限3時間なのか、移動時間を利用して確かめてみるつもりでいる。それ以外のお土産は最終日の札幌市内でも買えるが、サクサクパイだけは本店のみでしか売っていないのは何故なのか…
店のカウンターへ行くと、前日サクサクパイがおいてあった場所には開店から1時間程しか経っていないにもかかわらず影も形もない。売り切れたのかを聞いてみると「十分にございます」の声と共に出来たてのサクサクパイが皿に山盛りになって登場。ひとまず購入。サクサクパイ以外の品は最終日の札幌でも買えるので、ひとまず車中のおやつ分のヨーグルト味のストロベリーチョコとマルセイバターサンドにとどめておく。
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その足で元祖豚丼「ぱんちょう」のテイクアウトを買い求め、さらに駅弁コーナーでもいくらか豚丼を積み込んで列車に乗り込む。発車後すぐに食べたがこの豚丼は美味。
食べ比べ、ということで駅弁コーナーにあった豚丼おにぎりも買ってみたが、出来たての豚丼の味にはかなわない。あの豚丼はそんじょそこらの牛丼擬きとは桁が違う。
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とどめとばかりに駅弁コーナーの豚丼弁当も積み込んでおいた。その日に焼いた「豚八」の肉を使っているという。一通り蒸気が収まったところで食べたがやっぱり出来たての豚丼に軍配。
肉厚の豚丼には、駅弁用の加熱ユニットでは少々パワーが足りないかもしれない。容器が少し熱で歪んでいたので安全上の限界一歩手前までの火力は出しているような気もするのだが…と思いきや、加熱用の紐を片づけようとしたら最後に強力な蒸気の一撃。危ない危ない。
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一通り食べ終わったところでトマムの山中を抜け、程なく南千歳に到着。ここでスーパーとかちから北斗に乗り換え、デザートタイムとしゃれこむ。出発前に積み込んでおいた六花亭のサクサクパイ、時間はきっちり計っていないがそろそろ賞味期限を迎える時間だ。
箱からサクサクパイを取り出したところ、外見は買ったときと変わらなかったが、一口食べて賞味期限3時間の仕掛けに納得。パイ生地の内側にクリームが少々しみ込んでふやけていた。
車中のシメは森駅から出来たてほやほやで積み込まれた「いかめし」。餅米が入っているのか、大きさの割にはおなかにたまる。さすが駅弁界の東の横綱だけのことはある。
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一通り食べたところで、特急北斗は終点函館に到着。旅はいよいよ大詰め。