北斗の叫び~フライング(美瑛・富良野 後編)

特別列車「ノロッコ号」でラベンダー畑へ向かう。はじめは曇り空がだったが、現場に近づくにつれ空が晴れてきた。晴れ間の下に出ると、所々に広がる小さなラベンダー畑の中に、特設「ラベンダー畑」駅が見えてきた。仮設ではあるが、結構大きい。
到着までにカメラのテストも兼ねていろいろと撮っていたが、ようやくデジカメのシャッターの癖がつかめてきたらしい。
よく狙って狙って狙ってから…押す。
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まあまあ。
ノロッコ号から一斉に飛び出した人の波に、観光バスからの人の波が加わり、付近の道路は長い列ができる。列そのものは順調に動いており、逆に車の方が動きにくそうだった。
10分ほど歩くと、お目当て、ともいえるラベンダー農場に到着。一面に広がる早咲きラベンダーと一面に広がる人の群れ。ラベンダーが咲いているのか人が咲いているのかよくわからない。三脚付きのカメラを抱えた方々のレンズの先にあるのはラベンダーなので、まあ主役はラベンダーなのだろう。
農場は複数のエリアに分かれており、まずは高いところに登ってみる。まだ本格的なラベンダーの季節には半月ほど早いためか、それらしき色が見えるのは早咲き品種が植えられている一角のみ。農場全体の4割くらいだろうか。主力と思われる品種はつぼみらしきものが少々顔をのぞかせている位だったが、すぐにそれとわかる香りは一面に漂っていた。色合いを考慮に入れたのか、はたまた害虫対策なのか、ラベンダー以外のものも植えられていたが香りはラベンダ一色。
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中に強めのラベンダーの香りを放つ小屋らしきものがあり、中を見てみると、つみ取ったラベンダーを茎ごと蒸してエキスを取っている。ちょうど蒸し終わった残り滓を釜から出していたところだったが、蒸気と一緒にラベンダーの香りが一気に広がる。噎せ返るほどではなかったが。
広い農場をゆっくりと回り、ようやく入り口にもどってきた。かなり長い時間歩いていたような気がする。売店で目聡く地ビールを見つけ、メロンをつまみに地ビールを飲む。昼間から酒とか、花よりメロンより酒なのかといった話はさておき、「間もなく集合時間」「集合時間はとっくに過ぎている」といった放送と喧噪を横目に一息つく。
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ラベンダーの蒸留水なんてのも売られていたが、飲用ではなく化粧用。…もともとラベンダーは化粧品の材料として栽培が始まったが、当時の国鉄の担当者がラベンダー農場を観光地として売り出したところ大当たりして現在に至るの図。
本格シーズン入り前のためか身動きがとれない、といったことはなかったが、所々設けられていた写真撮影スポットに限っては入れ替わり立ち替わりで場所の取り合いとなっていた。早めに来ておいて正解だったかもしれない。
一息ついたところで時刻を確認。ちなみに「ラベンダー畑」駅には「ノロッコ号」しか止まらない。逃したり、乗り切れなかったりするとさあ大変…
帰りの「ノロッコ号」到着までにある程度の余裕を持って駅へ向かったつもりでいたが、ホームが自由席の乗車待ち…殆どが団体さんで埋まっており、入り口奥にある指定席乗り場へ行くのも一苦労。乗り切れないといったことはなかったが、指定席の通路まで埋まったところを見るに付け、指定席を取っておいて正解だったとほっと一息。
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富良野での乗り換え待ちの間に小腹の隙間を埋めておこう…ということで駅近くの売店を探す。事前に集めておいた情報によるとこの駅で「とんとろ丼」の駅弁が手に入るいう。宿の朝食に続いてポトフ、ラベンダーのソフトクリーム、富良野地ビールにメロンとまだ止まらない食欲…だったが、要予約の品だったため入手できず。あれだけ食っておいてまだ…とどこかから思わぬツッコミを喰らった格好。残念。
ということで同じ売店にあったかぼちゃプリン&コーヒーをお供にくつろぐ。
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…といきたかったが、向かいの暇人一行が酷かった。列車が走り出すや大声でワイドショーのコピー話。五月蠅いったらありゃしない。止まる気配は一向になく、結局終点に着くまでの間軽く2時間延々と続いていた。
観光地にそんなものを持ち込まんでくれ。あれはある意味放射性廃棄物よりもたちの悪い代物だ。この御仁は誰のお金で旅行をしているんだろうか全く。
…ということで座席備え付けのイヤホンを取り出し、ラジオの相撲中継に合わせる。元の喋り声がイヤホンを突き抜けるほど大きく、気休めにしかならなかったが…。
札幌に到着してさっさと列車を降り、JRタワーの展望台へ急ぐ。夕暮れは近い。