北斗の叫び~未踏の地へ(往路 前編)

私の記憶が確かならば、これまでに北陸、信越方面と関東以外で足を伸ばしたところというと名古屋、京阪神、広島、倉敷方面、長崎、種子島に沖縄…全て西日本の括りに入る。四国というと本四連絡橋の与島折り返しのみなので、爪先が若干かかったくらいだろうか。
地図上では長岡あたりが足を踏み入れたエリアの北限にはなるが、今の今まで小山から北へ行ったことも、通過したこともない。南東北なんてとてもとても。
…という経緯があったのかは定かではないが、北海道へ行くことを思い立つ。しかもオール陸路。どの旅行パンフを見ても、彼の地へは空路で赴くのがスタンダード、仮に列車を利用するとしても片道のみ、という風になっている。


それでもあえてオール陸路を選んだのは、飛行機に乗るのは沖縄で十分懲りたから…というのは模範解答ということにしておこう。
[image]
思い立ったまではよいが、オール陸路、しかも往路カシオペア、復路北斗星の切符を手配するとなるとそう簡単にいくはずもない。
昔どこかのニュースで、大阪~札幌間の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」の1室しかない特別室の予約を午前10時を狙って一斉に予約キーを叩く様が報じられていたのを見たことがある。
そこまではいかないにしろ、カシオペアのスイートルームともなると似たような光景はあるという旅行取り扱い業の方の話。豪華パックツアーであればかなり確実というが、お仕着せパックツアーというのは性に合わない。
…ということでまともに予約を行ったが、偶然キャンセルが出たのか夏休みシーズン入り直前の閑散期だったのか、すんなりとれた。これこそ、当たりくじなのかもしれない。
1ヶ月程前から周遊チケットや宿などの手配を順次進め、いよいよ当日。
朝一、病院で前々から持久戦で治療中の左目の経過を診てもらい、昼過ぎに1週間分の着替えを鞄につめて、カシオペアの出発駅、上野へ向かう。長い夜になることを知ってか知らずか、速くもウトウト…
[image]
しばしいつもの通勤電車にゆられ、上野に到着。
車中でつまむものを買いつつ発車ホームに向かうと、入線したカシオペアがフラッシュを浴びている。
何度来ても、カシオペアは格好の被写体になっている。先頭も最後尾もフラッシュを多数浴びていたが、最後尾の方が心なしか多め。
この手の写真といえば、親子連れもしくは鉄道ファンの世界らしいが、この手の世界とは縁遠いように見える二人連れにこれから乗ろうかという方々も若干。ホテル風のノリだからか。
[image]
写真撮影が終わるのを待っているわけにもいかない。いざ、中へ。
入り口から伸びる細い通路の途中に、今回の部屋がある。
中は2階建てで、上が居室とシャワー、トイレで下が寝室という造りになっている。寝室にはクローゼット付き。階段で行き来できる。
鍵は暗証番号式。これまでに乗った寝台列車とは全く造りが違う。施錠と解錠に癖のあったこれまでのカードキーとは大違い…って、これまでの寝台列車とは全く違うことが売り文句だからそれは当たり前か。しかしかなり助かる。
[image]
定刻通りに出発。車両間に衝撃吸収装置でも挟み込んであるのか、勢いをつけるかのごとく小さく前後した後に、進行方向へ向かって動き出した。先頭の機関車が引っ張ってくれるので、かなり静か。
西日暮里を通過したあたりで景気づけに早速飲みましょう、ということで予め買い込んでおいたビールを空ける…実家の妹のケータイへその模様を写真付きで送られてしまった。
[image]
のっけからそんなに羽目を外していいのか?
いいんです
暫くすると、ミニバーセットが届けられる。
ワインにウイスキーにお茶に…のっけからえらいことになってます。
これとは別に、ウエルカムドリンクも付いてきた。
[image]
ウイスキーどないしよ…。
しかし、係員の台詞と動作が新幹線等の車内販売と同じノリだったような気がしたということは内緒…ということにしておこう。コンセプトがどうであれ、カシオペアは「列車」だ。