セルと拡散符号

移動体通信システムでは、あらかじめ通話エリアを「セル」と呼ばれる区画に区切っている。この「セル」は1つの基地局から出ている電波の届く範囲がもとになっている。TDMA/FDMAのシステムでは、電波の混信・干渉を防ぐために隣り合ったセルでは同一の周波数帯を使わないように基地局で使う周波数帯を割り当ててある。
一方、CDMAを使ったシステムでは、拡散符号のパターンが異なっていれば同一の周波数帯を使っていても混信することはまずないので、どの基地局でも同じ周波数帯を使えるようになっている。


そこで、TDMA/FDMAのシステム同様混信しないように隣り合った基地局では同一の拡散符号パターンを使えないようにしてある・・・・・ということはやっていない。ソフトハンドオーバーで同一の拡散符号パターンを複数の基地局で使うこともあるので、隣り合ったセルでも同じ拡散符号パターンが使えるようになっている。
そのかわり、通信を行う際のチャンネル割り当ての際に隣同士のセルで使っている拡散符号パターンがぶつからないようにして割り当てを行うようになっている。この辺の「割り当て手順」はシステムを作るメーカーの裁量に任されているという。こちらの知る範囲では「割り当て手順の標準」を規定したものは見つかっていない。
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実際のシステムでは、複数の拡散符号パターンを組み合わせて使うことが多いのだが、使用する拡散符号を「セル向け」「端末向け」「通話チャンネル向け」に分け、通話チャンネルとして使う物だけをすべて使えるようにしているとのことである。
cdmaOne/1x/EVDOの場合は「通話チャンネル」用に64/128bit-Walsh符号、「セルの識別」に短周期PN系列、「端末の識別」に長周期PN系列をそれぞれ使っている。FOMA等W-CDMAでもほぼ同じで、Gold符号等を「基地局識別用」「チャンネル識別用」「端末識別用」などに使い分けている。