CDMAと遠近問題

「遠近問題」とは、複数の端末が1つの基地局と通信するときに起こる「距離のいたずら」である。
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電波も、光同様に遠くなる程弱くなる。何もない空間では距離の2乗に反比例して減衰するが、建物などの障害物がある空間では3~4乗以上に反比例して急激に減衰することもある。
このため、端末で同じ強さの電波を出しても、基地局に届くときには端末と基地局の位置によって電波の強さはまちまちになる。「基地局付近にいる端末」から届いた強力な電波が「基地局から離れた所にある端末」から出た弱い電波をかき消してしまいかねない。いくらCDMA/スペクトル拡散方式が他からの干渉を排除する能力に優れていても、限度がある。


場合によるが受信した電波の電力差は数十dB(約10000倍前後かそれ以上)になる。大半のCDMAシステムは拡散率が 100~200前後、つまり拡散前後で電力が100~200倍に変化するが、電力差が10000倍ともなると、逆拡散後の信号まで埋もれてしまい、手の打ちようがない。
以上が遠近問題のおおまかな中身だが、遠近問題は上り線…端末からの電波が集中する基地局で大きな問題となる。
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TDMA方式や、FDMA方式では、使用する周波数や送受信のタイミングなどが物理的にずれているため「遠近問題」の影響は受けにくいが、CDMA 方式では複数の端末が同じ時刻に同じ周波数の電波を使うため、「遠近問題」の影響をもろに受ける。
解決するには、「送信電力の制御」などで、近距離にある端末からの出力を絞るのが一番…と言われている