誤り訂正符号

「レイク受信」「可変速符号化+ノイズサプレッションのEVRC」「Voice Activation」「各種ダイバーシティ受信」等々、各種の方法で干渉をある程度排除できても、完全に取り除くことは難しい。そこで、送られた信号の誤りを受け手側で修正できるようにするのが「誤り訂正符号」である。
誤り訂正符号は、もとになる信号から一定の法則に従って作成され、元の信号と一緒に送る。受け手側で届いた信号に対してちょっとした計算をしてやると、元の信号が確実かつ正確に取り出せる。


誤り訂正符号の能力と長さはある程度関係がある。能力が高い程長くなる。もとの信号の帯域幅も広くなるため、使える帯域の狭い従来のTDMA・ FDMA方式では能力の高い誤り訂正符号が使いにくかった。
CDMA方式でも強力な誤り訂正をかけると元の信号のビット数や帯域幅が膨らんで拡散率が下がるが、その分を補ってお釣りがくるくらいの誤り訂正符号が使いやすい。元の信号の帯域幅の制限が緩いためである。
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仮に、拡散後の帯域幅を 1.25MHzとする
元の信号が2KHzの場合、必要な拡散符号の帯域幅は1.23MHz(緑)。この場合の拡散率は1250/2=625。(拡散後の帯域幅=1次変調した信号の帯域幅+拡散符号の帯域幅)
強力な誤り訂正をかけて拡散前の帯域幅を5倍の 10KHzにした場合、拡散符号の帯域幅は1.15KHz(赤)になる。拡散率は1250/10=125
両者の拡散符号の帯域幅は1.23/1.15=1.07・・・7%の差しかない。詳細は省略するが、ここから拡散後の各周波数成分の電力密度の差も同じく 7%しかないことがわかる。すなわち、他のユーザーが受ける干渉はわずかの増加ですむ。一方、拡散前の信号帯域幅が5倍になった分、強力な誤り訂正能力が期待できる。
cdma2000 1x EVDOではTURBO符号という誤り訂正符号を使っている。計算が面倒で、遅延が発生しやすい欠点はあるが、誤り訂正能力は高いといわれている。W-CDMAやcdmaOneなどでも「畳み込み」等の同様な手法が採られている。また、誤り訂正ビットが加えられた信号から高速かつ正確に元の信号を推測・決定する「ビタビ復号法」という手法もある。