相関値

CDMA・スペクトル拡散を理解する上で重要な鍵となるのが相関値である。
相関値は「波形の類似性」をあらわす値である。数学チックな言い回しでは「2つの関数の波形の瞬時値の現れ方の類似性」となる。相関値を求めるには、「対象の2つの関数を掛け合わせ」てから「一定の区間について積分」することになる。
2つの関数 a(t), b(t)について相関係数(絶対値が1以内に収まるようにした相関値)を計算した場合、
・1ならば同一…a(t) = b(t) であり、


・-1ならば上下逆さま…a(t)= -b(t)となる。
・0の時は「波形の類似性」がない
ことを指す。互いの相関値が0である符号で拡散された信号は、一度混ざり合っても逆拡散の時に完全に分離できる。
移動通信端末からの信号(電波)は必ずしも発生時刻が揃っているとは限らないので、相関値に「波形の時間差・位相差」を加味して計算する必要がある。これを加味したものが「相互相関関数」である。なお、同一の波形についての相互相関関数は特別に「自己相関関数」と呼び、波形の周期性を表す指標としてよく用いられる。
ところで、相関値・相関係数は通常信号波形について積分して求めることになるのだが、「ビット間同期のとれたデジタル信号波形」に限り、「一致しているビット数と不一致のビット数」から簡単に相関値・相関係数を求めることができる。
次のような2つのデジタル信号があったとする。
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この場合、相関係数は
で求められるので、この場合一致しているビットを抜き出してみると(青字)
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全16ビット中8つあるので・・・・
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となる。