長崎ぷらぷら節(1)~スタートラインに立つまでが・・・~

ふと目が覚める。連れの話では、岐阜県境の坂下駅を通過したらしい。いつの間に?
前日の23:55、急行ちくまで長野を発ってからはや3時間。ちと控えめな姨捨山からの夜景に見送られ、新幹線印の毛布を枕に(急行ちくまのグリーン車には、毛布が4枚常備されているのだ)、カミ雪(注)でできた雪の壁の間を縫うようにして目指すは新大阪。塩尻あたりまでは話をしながらのんびり過ごしていたんだが、そこから先の記憶がない。明かりは既に半分に落ちていて、車内放送も名古屋到着まではないらしい。


注:カミ雪
信州では、どちらかというと北信地方長野市やそこから北の飯山、あるいは黒姫(信濃町)あたりで雪が多く降る。松本や諏訪の近辺など、中信・南信地方では雪よりも氷の方が厳しい。ところが春先になると北信よりも中信・南信地方でまとまった雪が降ることが多々あり、地元の人はこれを「カミ雪」と呼んでいる。
実はこの旅行の数日前にとんでもない量の「カミ雪」があり、道路・鉄道は完全に麻痺。一部地域が陸の孤島になり、急行ちくまも運休していたりする。
最終目的地は長崎。少々お金をつぎこめば福岡なり長崎へ空路向かうことができたのだが、連れが特攻野郎Aチームのコングじゃあねえが「飛行機だけは勘弁」なもんで
長野→新大阪 急行ちくま
新大阪→博多 新幹線のぞみ
博多→長崎 特急かもめ
というなんとも豪勢な列車の旅になってしまったのである。旅が始まるまでの間、私もだが連れも突っ込まれた。「何故空を飛ばんのよ」
そうこうしているうちに中津川に到着。停車駅ではないのだが。対向列車が来るわけでもなく、貨物列車に追い越されるわけでもないのだが、やけに停車時間が長い。そういえば、前にもこの手の夜間急行には2,3度ばかり乗ったことがあるんだが、アルプス(新宿→松本→白馬)も能登(福井→富山→長野→上野:注)も、やっぱり停車駅以外の駅で長時間止まっていた。仮眠でも取っているのかな?
注:急行能登
北陸と首都圏を結ぶ夜行急行だが、長野新幹線の開業にともない信越線の横川・軽井沢間が廃止されたため、以後は長野経由から長岡経由になって運行されている。
止まっては目が覚め、目が覚めてはうとうと、ぼんやりしているともう走り出している、ということを繰り返している内に名古屋に到着。名古屋を過ぎたあたりから、いきなり全速ですっとばしはじめ、夜明けをバックに米原京都新大阪とポンポンポーンと着いてしまった。
新大阪で朝飯を買い込んで「あひる」に乗り換え、睡魔と戦いつつ博多へ向かう。時速285km/hの割には揺れは少ない。途中車内の字幕案内板に通過した駅が表示されるのだが、改めて新幹線の速さが実感できる。ちと長いトンネルをぬけたかな~と思ったら、もう小倉だった。関門海峡はとっても狭く浅いものらしい。
このあたりから、雨がぽつぽつ降り出してきた。いつも旅に出たときはきまって晴れていたんだが・・・と思ったら、もう博多。最新型のあひるは速い。
博多からは銀のかもめに乗り換えたのだが、この車内がひどかった。あひるの中が快適だったせいか? 携帯はピーピー鳴るわ、オバハン共は騒ぐわ、間違った席に居座り続けるオバハンもおるわ。あ、最終的にそのオバハンは本来その席を予約していた人たちに押し出されたけど。
そしてようやく長崎に到着。約12時間乗りっぱなしでくたくた。エコノミークラス症候群にならなくてよかったね。ともあれ、ようやく旅行のスタートラインに立つことができた。まだまだ先は長いし、その先には長崎の街の深い懐が待ちかまえている。(つづく)
Rec:2001-02-11/Mix:2000-02-25