Milky Blue Forever(Part 2)

結局前の日はお客の入りが芳しくなく、カクテルとおつまみの試作に明け暮れた夜であった。一晩明けて夕方を迎える。17:00開店のつもりがちょっぴり早まってしまった。営業部隊が早速客を釣り上げてきたらしい。まあ、おととしのように着替えている最中にお客が来てしまったということにはならなかったとか。
3日とも違うかっこで店に出るぞ~ということにしていたのだが、今日はお気に入りの服で出場。仕事の合間を縫って遊びに来ていた先輩から「むちゃくちゃ派手やな~」と突っ込まれてしまった。左半分が白の胴体に黒の袖、右半分が黒の胴体に白の袖、真ん中にロンドンタワーらしき刺繍がはいっている代物である。後輩に言わせると、白黒パンダらしい・・・。


この時期になると急激に冷え込む信州。おまけにあいにくの雨。か~なり冷え込んできたのだが・・・秘密兵器(?)登場。電気製品があんまり使えないんならということで石油ファンヒーターが登場。けっこう暖かくなった。そして残る寒さはROCKでふっとばせということで厨房にはCDラジカセが設置され、High Standard(だったかな?)がBGMとして流される。ブランデーをたっぷり入れた紅茶で体を温める。
そういえば今まで向かいのラーメン屋「世紀末ラーメン」では夜になるとギターに合わせて歌っていたのだが、今年はやけに静かだった。
出だしが早かったのと、客の回転がよかったせいか、開店後程なく厨房はにぎやかになってきた。魂をゆさぶる(?)リズムにのって、厨房にいた人の大半はノリノリで働く。踊っていた者、約一名。
今日は決戦日だったのだが、店の方はめてたく7時頃にはほぼ満席となった。大勢過ぎて一部店に入れなかった客もいたらしい。
その陰には営業部隊の涙ぐましい努力があったことを忘れてはならない。傘が開かないふりをしたり、雨宿りに誘ったり、靴ひもがほどけたふりをしたり・・・。しかし営業部隊の中に1人は「雨の日には雨の日なりの呼び込み方があるのさ」とさらりと流す。
そんな中、今年も今年も編集長時代の後輩達が飲みに来ることになっていたのだが、予定通り集まり、タッチの差で無事全員入ることができた。
去年のように一度にカクテルを2杯づつ注文するということはなかったものの、パスタもうまそうに食ってってくれたし、おすすめのガーリックトーストも気に入ってくれてよかったよかった。カンペも大活躍で、名前や色で楽しむカクテルや、こういう機会でもないとなかなかお目にかかれないカクテルなどを中心にいろいろ面白いカクテルを紹介しながら話に花を咲かせる。ちょっとした同窓会かな?
カクテルによっては目の前でシェーカーを振るサービスなんかもやっちゃったりしたが、これはかなり好評だった。「白黒パンダ」はかっこよく見えたらしい。夜目遠目笠のうちという言葉もあるが、本当のところはどうだったんだろう? まあ、仕込んでおいたネタはうまくヒットしたということにしておこう。
知り合いの研究室で不幸にもつぶされてしまった後輩君(元々酒が弱い)や、片づけの最中にお盆をひっくり返し、大事なブラックスーツがスープまみれになってしまった後輩君が約1名づついたが、幸いにも店内は客の回転がよかったらしく、大盛況。(編集長時代の)後輩達も4時間にわたってゆっくり飲み食いしてもらうことができた。が、そのころシェーカー部隊は大変な危機に陥っていた。
氷がな~い
氷はカクテルの命。店の中には自動製氷器があったのだが、カクテルの売れ行きが予想以上によかったためか、自動製氷器の能力を超える氷を使ってしまったらしい。私が後輩達のお相手をしている間にも、昔のバイト先に氷をもらいに行ったり、コンビニでロックアイスを買いに走ったりという事態になっていた。
しかしそのおかげで氷切れは短時間で解消され、シェーカー部隊は無事復活をとげた。めでたしめでたし。
・・・・とはすんなりいかない。後輩達が帰ってしばらくした後、店の前の方でなにやらあったらしい。現場へ急行してみると、男が一人、寒空の下でおねんねしている。(つづく)
Rec:2000-10-29/Mix:2000-11-04