信濃の国

おことわり:「郷に入りては郷に従え」に従い、ここでは「長野県」を「信濃の国」と表記してあります(笑)。
私は生まれてから高校を出るまでを富山で過ごし、現在は信濃の国、善光寺平に住まいを置いている。長野県長野市ともいうらしい。
信濃の国と言えば「善光寺さん」を外せまい。牛にひかれて善光寺参り、などと古くから言われ、全国から人が集まっていたそうで、地元の人たちにも年輩の方を中心に大変親しまれている。そのため人は善光寺のことを「善光寺さん」と呼んでいる。ここには「昼間にカップルが行くと必ず別れる」という、まことしやかに伝えられる話があるので、相当強力なご本尊様がいるに違ぇねぇ。ただし秘仏(非公開の仏様)なので、私は見たことがない。


どうしてもという方は、7年に1回「御開帳」と称してご本尊様に間接的ながら「触れる」ことができるそうなので、それでご勘弁を。前回は1998年にあったので、次回は2005年だったはず。
この「善光寺さん」には、毎年多数の人たちがやってくるが、大半の人が本堂へ入ってお参りして行くだけなので、暇があれば周囲をぐる~っと回ってみてみるといいかも。ありがたいもの、おもろいもの(?)などが多数見つかるかもしれない。
かつて、この街の玄関口・長野駅は「善光寺さん」を模したいぶし銀の建物だったのだが、オリンピック開催直前に新幹線に轢かれてあえない最期を遂げた。今ではその雄姿を写真でしか拝むことができない。無念。
今はホームの上に大きなドームがでーんとのっかった、改札口と「みどりの窓口」の間に大きな段差のある駅舎に改築されている。外壁のデザインがちょいとイケてない。それに対して、土蔵をあしらった上田駅の白壁風の外観は結構よくできていると思ふ。
善光寺さんの他にも、サイクリングで行ける範囲には、歴史的なスポットがいくらかあり、代表といえそうなものに上杉謙信と武田信玄が激戦を繰り広げた川中島古戦場がある。実はそこは千曲川(新潟へ入ると信濃川)の河川敷付近だったりする。
さて、信濃の国というところは地理的に結構中途半端な位置にあり、そのときの気分によって
・「関東」ブロックに入ったり、
・「北信越」になったり、
・「中部」になったり、
・「信越」だとか
・「甲信越」になったり、
・挙げ句の果てには「東日本」と「東海」と「西日本」に3分裂
したりする。時として、(たとえばの話)東京から信濃の国へ列車で行こうとすると、東京駅から行った方が近い地域と、新宿駅から行った方が近い地域に別れたりなど、場合によっては信濃の国が分裂したりする事もあったりする。
冗談かと思いきや、明治の「長野県庁ぶんどり合戦」の際には、信濃の国が分裂に危機に瀕したことがある・・・という地元の人の話だ。
信濃の国は、大ざっぱには
・善光寺平(北信)
   川中島合戦・オリンピックなど、争い(?)が絶えない。冬は雪が深い。「一里三寸」だとかで。有数のそばどころでもある。
・安曇野(中信)
   松本市内には謎なものが多いとか? 某わさび農場にも謎なものが多い。人混み&渋滞の名所・上高地はこちら。
・佐久平(東信)
   果樹と温泉が多数あるが、軽井沢が全部おいしいとこ持ってってマフ
・伊那谷(南信)
   木材から果樹までそろった、植物の宝庫。蜂の子、ざざ虫、イナゴの佃煮はこの地にありまする
の4つのエリアからなり、それぞれがこれまた個性に富んでいる。
善光寺平の人たちは、同じ信濃の国の安曇野の人たちと仲がよくないと言われている。何でも、両者の間には明治時代の「長野県庁ぶんどり合戦」以来の怨念が渦巻いているとか。
昭和20年代中頃に県庁が焼けおちたことがあったのだが、そこでも信濃の国南北分裂の危機が訪れる。そのときに県議会での投票で決着をつけることになったのだが、議事堂前で「信濃の国」なる歌の大合唱が起こったためか、わずか1票差で分裂は回避されたという記録がある。
さらに、昭和40年代の県庁建て替えの際にも「長野県庁ぶんどり合戦」が起こった。・・・のだが、かつて信濃の国の分裂を未然に防いだ「信濃の国」を県歌に制定してこれまた事なきを得ている。
信濃の国はやっぱり独立、かつしっかり1つにまとまった「信濃の国」なのだろうなぁ・・・。 そうなのだろう、ということにしておこう。
だが、北陸新幹線(現在も「北陸」に到達するべくその足を延ばしている)の部分開業に伴い、鎮まりかけていた怨念が復活・・・? 実際に松本週辺の自治体関係者は、中央東線(新宿-松本を結ぶ路線で、都内の区間は自殺の名所として有名)をなんとかせい!・・・などと雄叫びをあげている。
ということもあってか、信濃の国では「長野県」のことを「信州」と呼ぶと年輩の方々を中心に喜ばれるようだ・・・・・・って、ほんまかいな?
そういえば、最近信濃の国は日本国から単身飛び出して「世界のNAGANO」になったとも聞く。
信濃の国は、「ますのすし」や「薬」を出してもなかなかその存在を理解してもらえないどこぞの金沢県( http://www.pref.toyama.jp/ )とは違って、比較的、もとい非常に個性が強い。行事の際には「信濃の国」という歌をお約束のごとく歌い、自らを「信州人」とうそぶき、結束する。
この地には、「おやき(饅頭のようなものだが、中には野菜や野沢菜が入っていたりする)」「そば」「八幡屋磯五郎の七味」「りんご」を筆頭に特徴ある特産品が多数ある。中でも「信濃の国限定発売」のお菓子類が手を変え品を変えつつ多数出ており、定番のおみやげに飽きられても貢ぎ物に事欠くことはない。
また、「山賊焼き(特大サイズの鶏唐揚げ)」や「山芋&青海苔入りケーキ」など、なかなかの味の食べ物も多数ある。
いろいろ無茶苦茶なこと書いてるけど、「信濃の国」の住み心地は結構気に入ってマス。
Rec:1999-1-19/Mix:1999-1-20