黒姫(中編)

~2日目~
合宿では毎度のことだが、朝6時からラジオ体操と発声練習がある。鳥のさえずりが聞こえる中、練習開始。朝もやの中をやまびこがこだまする。後輩たちも4月から練習を積み重ねているだけあって、なかなかのものだ。そのあと、練習会場ともなっているグラウンドの掃除。
実は前日の夜、花火をやったのだが、女子部員が線香花火など比較的小さな花火で楽しんでいたのに対し、野郎ども(私も含む)は打ち上げ、ロケットなどをドンパチ放つ。15人ほどで花火をやれば、残骸もそれ相当の量が出る。大半のものは当日のうちに始末できるのだが、ロケット花火はさすがに暗闇の中では回収しづらい。


朝食をすませ、出発。今日は長野市内でニュース原稿の取材だ。
まずはアイスクリーム工場を見学。ここの工場はかなりの部分を手作業で行っている。工場の中はガラス張りになっていて、作っているところが
よく見える。こういうところをみると何故だか食べたくなるもので、一同はアイスクリームを食す。
それからそばの博物館、小林一茶の旧宅、善光寺近辺などをまわり、取材を手伝う。この近辺には何度か来たことがあったこともあって、私はガイド役に。善光寺は結構広いもので、いろいろな建物がある。裏手へ回ってみると地震でねじれた柱や鳩小屋、ツツジの花畑などもあり、一通り回るだけでも結構時間がかかるのだ。ここ善光寺からは、15年ほど前に大規模な土砂崩れがあった地附山(じづきやま)が見える。山がえぐれている様子がよく見えるのだ。
帰りは国道を通っていった。途中、大雨による洪水があった現場を通ったのだが、建物の2階あたりまで水に浸かったらしく、泥のあとがそのあたりまでついていた。リンゴ畑のど真ん中にはどこから流されてきたのかタイヤが多数転がっていた。この近辺は川の堤防と道路の土盛りで囲まれていて、大雨の際には水たまりになっていた。
車はさらに山中へ入っていったのだが、片側車線が削られていて、交互通行になっていたところが数カ所あった。窓からは川沿いの道路や線路がところどころえぐり取られているのが見えた。もののみごとに。道路と鉄道はこの数日後に仮復旧したが、完全復旧までには少々期間がかかることになる(後日のニュースより)。
復旧工事による渋滞をぬけて、ようやく宿に着く。夕食後、事前に後輩たちが作ってきたラジオドラマと、昼間に後輩が取材したニュース原稿の発表会を行った。チェック項目はいろいろあって、ニュース原稿の場合では「起承転結や強調する点などの伝える内容の組み立て方」「発音アクセントや声の大きさなどの発声」など数点。当日参加していたOBもゲスト審査員として参加。私も講評を述べたのだが、仕事で文章を扱っている私としても大いに勉強になった。(続く)
Rec:1998-3-9/Mix:1998-3-18