黒姫(前編)

大学1年の夏。ひょんなことから、黒姫に行くことになった。高校時代やっていた放送部の後輩たちの合宿へである。
早朝5時に出発。松本の寮(当時の住まい)の事務室に立ち寄ると、そこには顔に芸術を施された男が2名。こいつら、飲んでたな(笑)。笑いもそこそこに寮を出た。街の人たちの朝は早い。学生とは全然違う。マラソン、ジョギングに精を出す人たちとあいさつを交わしつつ、松本駅へ向かう。
~1日目~
2番電車で黒姫へ。まだ早朝だったためかそれほど混んでもいない・・・かと思いきや、長野市内へ近づくにつれ車内は詰まってきた。長野到着はちょうど通勤ラッシュの時間帯。ま、座れたからいっか。これ、始発から乗っていた者の特権。


長野で電車を乗り換えていざ黒姫へ・・・ところが電車はちょうど山中の入り口あたりの豊野で止まる。数日前の大雨による土砂崩れのため、この先は不通。豊野から先へは代換バスに乗り換えなのだ。このバスがこれまた揺れる揺れる。バスは線路沿いの国道ではなく、駅から駅へと山道を走るのだ。酔った人若干(我輩は乗り物酔いには強い方なので大丈夫)。バスに揺られながらもなんとか到着。到着が予定よりも遅れたが、富山からとっくに来ているはずの本隊はまだ到着していない。待ちぼうけ。
列車ダイヤの乱れや一部列車の運休のため、このあと2時間近く待つことになる。あとで聞いた話では、本隊はこの日運休した特急列車で来る予定だったらしい。しかも1日1本しかない直通列車だ。(97年10月に廃止になった)この次の列車で来たところ、このありさまだ。北陸方面と長野との列車の接続はとんでもなく悪いので、列車を1本遅らせるだけでこのように2時間の時差がでる。10分以内でつながれば御の字だ。私の現役時代のときの合宿も、直江津駅で乗り換えの列車を1時間位待っていた。
合宿ではいつも世話になっている定宿についたのは昼過ぎ。昼食をとったあと、近くにある童話館(童話の博物館)近くで早速街頭インタビューの練習。アナウンサーとカメラマンがペアを組んで道行く人にインタビューを敢行する。平日だったこともあって、なかなか人がつかまらない。結構歩き回ったね。ちなみに童話館の前はスキー場になっていて、夏の間は一面の草原になっている。ところどころに草をはむ牛。放牧されているのだ。のどかやのぅ。
インタビュー練習の終了後、童話館へ入り、中を見学。ここのメインは「モモ」でおなじみのミヒャエル・エンデ。しばらく黒姫に滞在した時期があったのが縁でここに展示されている。このほかにも地元の昔話や世界各地の童話などが展示されていた。
ここにはちょっとした売店があって、絵はがきや小さなバッジなどを売っている。現役時代、私の同期のうちの何人かがここで買ったおそろいのバッジをつけて、「童話館高校参上!」などといったようなことをやっていたなぁ。ここへ来たときにそういったことを思い出し、バッジを1つ買い求める。今でも私の部屋に丁重に保管されている。
帰りは後輩たちと話をしながら途中まで歩いていった。一足先に行っていた集団を追っかけて走っていくと、後輩たちが拍手をしながら待ちかまえていた。「藤畑選手、ただいまゴールインです。」こんな冗談などを交わしながら、1日目は暮れていった。(続く)
Rec:1998-3-9/Mix:1998-3-16